過酷な村で

2日村をあけて戻って来たら、たまさか私の心を慰めてくれた3匹の子ネコたちはみなどこかにもらわれて行き、イケニャンだけがぽつんと寂しそうでした。ゆうべ屋根の上でいつまでもニャーニャー鳴いていたのは、失われた子ネコたちを呼んでいたのでしょうか?

ことの他暑い夏、私の畑のレタスもすっかり焼け焦げ、キュウリももはや枯死寸前、ヒマワリの種すら芽を出しません。

水がないので洗濯もままならず、ずーーーっと同じ服を着つづけ、塩を吹いたまま乾燥した背中がかゆくてたまりません。

私の昆虫セットは、やはり最強のサソリが生き残り、ムカデも毛虫も蛾の死骸すら見えませんでした。今さっき見たら、きのう入れた便所コオロギをばりばり食べていました。

なつは今頃はどこか深い谷の底で、「早くぼくを見つけて!」と私を呼んでいるのではないかと思うと、かわいそうで涙が止まりません。どうやら私も、この黄色い大地の砂埃にまみれた小さな村に、少し長く居すぎたのかもしれません。