お母さんになったイケニャン


ほんとうにびっくりしました。私はイケニャンは、ずーーーぅと男の子だとばかり思っていたのです。子ネコがもうこんなに大きくなっているということは、私が村を出る頃には、すでに臨月に近かったはずなのですが、ぜ〜んぜん気がつきませんでした。


私はネコを飼ったことがないし、ましてや子育ての現場を目にすることもなかったわけですが、ネコって、こんなにも一生懸命子育てするんでしょうか、それともイケニャンが特別に?

とにかく、いつも子ネコを抱きかかえて、ペロペロなめてきれいにしてやっているし、お尻もちゃんとなめてあげるし、3匹が遊んでいる近くでじっと見守っている姿には、思わず胸がじんと来ます。

3日ほど前の真夜中、気配がするので庭に出てみると、ちょうどイケニャンが中型のネズミを銜えて来たところでした。どうするのだろうと見ていると、それを子ネコたちの間にポトッと落としたのです。ネズミは弱ってはいたけれど、まだ普通に動ける状態でした。子ネコたちは突っついてはのけぞり、噛みついては飛びのいたりして弄んでいましたが、イケニャンはその様子を傍らでじっと見つめていました。しかしネズミが子ネコたちから逃れてスススッと離れていくと、イケニャンが脱兎のごとく(?)追いかけてまた銜えて持ってきて、子ネコたちの間に落とすのです。つまり、狩りの訓練をしているようでした。このトレーニングはずいぶん長く続き、月の小さな暗い夜でしたが、それはとても感動的な光景でした。


子ネコはやんちゃ盛りを向かえ、3匹+お母さんでとっくみ追っかけネコレスで、見ていてほんとうに飽きません。3匹はお母さんと遊んでいるのではなく、お母さんで遊んでいるといった感じで、イケニャンの尻尾めがけて突撃、イケニャンも面倒がらずに、いつまでもパタンパタン尻尾を振り続けています。