テト

チヤウドックというのは小さな町なので、いつも使っているExpediaには情報がなく、Agodaで宿を取りました。小さいとはいえ、もともと交通の要衝にある古い町ですから、コロニアル風の立派なホテルも1軒あります。3軒あったうちの一番安い(2000円ほど)ホテルを取ったのですが、これが町の中心部から3キロほど離れているため、今回の交通手段はバイタクでした。とにかくひとりで歩いていると、乗らないかと声がかかります。中心部まで100円くらいで行ってくれるのでとても便利、もっぱら愛用させていただきました。すべてHonda車です。

最近はネットで宿が取れるので、以前と比べれば格段に便利でかつ安全です。今回も急きょ前夜に取ったものですが、こうやってネットで取れるものは、値段もともかく、安全性が確保されるのです。以前は、暗くなってから荷物抱えて安宿探しをするのが、ほんとに難儀なものでした。



で、荷物を下してから中心部まで行ってみました。今日27日は大晦日ですから、それはもう迎春の準備で街中がごった返していました。カンボジアでも華人系を中心に春節は祝うので、前々日の26日はあちこち供え物など積み上げて賑わっていましたが、クメールの本来の新年は4月だそうです。便乗休暇だとかで、つまり先生が休むので、休暇に入る学校も多いとか。新暦の1月1日もそんな感じらしく、カンボジアには1年に3回正月があるようです。上の2枚の写真は、朝プノンペンを発つ前の写真です。






さて、チヤウドックでは、リバーサイドが市民公園になっていて、その前の路上に続々と大型トラックが集まってきます。ほとんどが10代20代の若い衆というか子どもが多かったのですが、おそらくは“町内”で区分されているのでしょう、揃いの衣装で、これ見よがしにドラや太鼓をガンガン打ち鳴らして、もう街中が興奮してこらえきれずに浮足立っていました。日本でいえば、御柱か博多どんたくといったところでしょうか。




で、日が暮れるとみないっせいにどこかに移動を開始したのですが、いったい彼らがどこに行ったのか、人に聞いてもさっぱりわかりません。そもそも英語がぜんぜん通じません。私は映像でしか見たことがない、龍の踊りが見たかったのです。それでバイタクのおっさんを捉まえてトラックが去った方向へ追いかけてもらったのですが、これがいったいどこに消えたのか?町のはずれにある、聖なる山の麓に大きな寺があって、きっとそこだろうと、7キロもスッ飛ばして、おっさんもいろいろ聞いてくれたのでしたが、これも空振り。

もう疲れ果てていったんホテルに戻って少し寝たのですが、懲りることなく私は11時ころに起き上がって、ホテルの前の屋台で飲んでいた兄ちゃんを捉まえて、また街まで出ました。深夜、年が変わるころにパゴダの前で、龍の踊りが奉納されるという情報を得たからです。



ああ、そして情報通り、街の中心にある寺の前で、龍の踊りは奉納されていたのです。こんな地方都市の、いわばシロートの演技ですから、ひとりだけ出遅れた人があったりとか、決して映像で見るような立派なものではなかったかも知れません。しかし、町中の人が無事に今年もゆく年を送り、新しい年を迎える喜びに包まれて、神仏に感謝の舞をささげるという、本来の龍踊りを、町の人たちと一緒に見ることができて、私もチヤウドックの住人のひとりになったような気分でした。




そしてこれは圧巻。写真はあまりよくありませんが、獅子頭を持った前の人が、一瞬で後ろの人の肩に飛び乗ります。これは相当の訓練を必要とすることでしょう。仲間たちも万一のことに備えて、周りに跪いて待機していましたが、2回とも大成功で、大きな歓声がわきました。もう、ほんとに凄かったです!!!



そんなころから、寺には続々と初詣にやってくる人の列で、もうもうと線香がたちこめ、祈りの声が響き、除夜の鐘が鳴らされます。今年もチヤウドックの人々は、平和なテト(ベトナム語で新年のこと)を迎えたようです。

えっ、その後ですか?そんな時間に“仕事”したい人はいないので、歩きましたよ、ホテルまで。途中、みんな家の外に酒と料理を並べて、カラオケも入ったりして、宴会やってましたね。声がかからなくてよかったです。