サソリ豆博士(閲覧注意)

いろいろ有意義なアドバイスをいただき、これならサソリでひと儲け、いや、村人の福利厚生のお役に。。。と、いま離石にいることだし、さっそく本気でネットをぐるぐるしてみました。日本だと、以下にあるWikiがまずは基本ですが、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%BD%E3%83%AA


実はこれではあまりよくわからないですよね。それで中国のサイトで「蝎子」と打ちこんでみると、あるわあるわあるわあるわあるわ。。。さすが本場!きのうはそれを読んでるだけで(中国語だから)半日過ぎてしまいました。分布から、生態、歴史、飼育、養殖、サソリ料理のレシピから刺青の図案、Q&A。。。私はもうすっかり“蝎子豆博士”になってしまいましたよ。日本ではあまり意味がないかもしれませんが、サワリをご紹介しましょう。


サソリの活動時期は、啓蟄の頃から11月上旬まで。40℃〜−5℃まで生存可能で、10℃以下になると活動しなくなる。29℃〜39℃の間が活動が盛んで、35℃〜38℃の間が最も盛んになり、この間に交配を行う。41℃を超えると脱水症状を起こし死ぬ。夜間8時〜11時の間に活動し、午前2時〜3時に巣に戻る。


交配は、オスのサソリは一生に2回、メスは1回だけである。(交配に関してはWikiに詳しい)メスは1度の交配で3〜5年間仔を産むことができる。つまり交配後4、5年生きて死ぬ。30℃〜38℃で仔を産む。1度に15〜35匹。仔は母の背中に登って5日間何も食べない。その後脱皮し、1週間後に母から離れて自立する。


仔サソリは3年間で5回脱皮して成サソリとなり、4年目に交配する。その後4,5年生きるので、サソリの寿命は5〜8年である。巣の中に群生する。同じ巣の中では共食いはしないが、他の群れ同士では、大きいサソリ、強いサソリが小さいサソリ、弱いサソリを食べることがある。


サソリは獲物を直接食べるわけではなく、まず獲物を毒針で刺して動けなくしてから体液を吸い、その後に消化液を獲物に吐き出して、獲物の組織が消化されてから後に吸入する。野生のサソリは自立心が強く、巣の中でも一蠍一部屋で、獲物を捕獲する場合も共同行動はとらない。


目、耳は退化しており、全身の感覚毛で活動する。1m以内のゴキブリの動きを察知することができるが、風の強い日は感覚毛が機能しないために出てこない。嗅覚が発達していて、刺激臭は忌避する。


中国には10種類ほどが生息していて、最も多いのが「東亜鉗蝎」で、毒性はそれほど高くない(ただ、痛いだけ)。世界のサソリのうち、もっとも毒性の低いものは「八重山蝎」である(日本の蠍)。

どうです、なかなか詳しいでしょう。法布儿もここまでは観察できませんでしたね。それで、この他に延々と続くのが、実はサソリの養殖法なんです。つまり、サソリは商品価値が高いのです。サソリがリューマチの特効薬であることは、前々から聞いていましたが、さすがに漢方の世界は奥が深くて、なんだかあれこれ効能があるみたいで、もちろん強壮剤としても人気があり、河北省あたりでは、盛んに養殖されているみたいです。そういえば、磧口にいた仲買人も、河北省に売りに行くといってましたね。

特にその毒が価値が高く、あの針のついた尻尾の先をチョンと切って絞り出した毒液が、1キロで15万元、つまり240万円くらいするそうです。1万匹のサソリから480gしか採れないそうですよ。雀の涙の何十分の一くらいですからね。金より高いです。日本の通販でも出ていて、「全蠍」(つまり塩ゆでして乾燥させたもの)が、100gで18,300円でした。

さて、そこでひと儲けの話ですが、残念ながらこれがアウトだったのです。サソリは現在、中華人民共和国野生動物保護法で守られている、重点保護動物のひとつになっていることがわかりました。しかし、野生サソリといってあちこちで売っているではないか、村人もせっせと捉まえているではないかとおっしゃるかもしれませんが、それは“上に政策あれば下に対策あり”の中国ですから、そこはそこ。それを外国人、ましてや日本人が大規模に捕獲しているともなれば問題は別です。

ネットの記事によると;現在地方政府によって、サソリ売買の取り締まりが強化されており、国家の法を無視して非法行為に走る者は、中華人民共和国野生動物保護法と無許可営業取締法によって処罰される、のですが、そのすぐ次には、野生サソリの捕獲法が事細かに書いてあるのです。

まず、石や土壁の隙間のまわりに、サソリの糞(白色)を探して、巣を見つける。雨上がりの晴天が最も活動が盛んで、土や壁が乾いた状態であること。最適期は5月〜6月末で、この時期は啓蟄後でよく食べて肥って元気であり、成サソリのメスは仔を持っている。仔持ちのサソリは人工的に飼育しても2か月ほどで出産する。

出産後の仔サソリは母親の背中に乗って5日間を過ごすが、この時母サソリは仔を守るために非常に神経質になっているので、優良な環境を守ること。過密な状態、食、水の不足から、母サソリが仔サソリを食べてしまうこともある。

統計によると、1匹のサソリが1年に食べるイナゴなどの“有害昆虫”は、1万匹だそうです。それが御多分にもれず、都市開発と農薬の使用などによって激減し、現在は医薬業界などで必要としている量の30%ほどしか手に入らなくなったのだそうです。100種類以上の漢方薬で必要としているそうです。それで1980年代以降、徐々に養殖が盛んとなったわけです。

考えてみれば、4億3千万年も前から、生涯たった1度の交配で、3年も4年も子孫を残し続けて死んでいったサソリの一生は、けなげともいえるでしょう。当然自然界にその位置は必要とされていたわけですから、“蛇蝎の如く”嫌うのは人間の勝手であって、私もこれからは少し見方を変えようと思います。

というのは、実はネットをぐるぐるしていて、とてもいいことがわかったのです。サソリは刺激臭を忌避するので、例えば、ペンキ、ガソリン、樟脳、生石灰、化学肥料などを侵入口に塗り付けておけば、寄ってこないのだそうです。これらのモノも簡単に手に入りますが、もっともっといいモノがあるのです。それは、ヨモギ。これですね、これ。ただ、ヨモギは界隈にはあまりないのですが、しばらく前に村人が、蚊除け(乾燥させたものに点火して蚊除けに使う)を作るためにせっせと集めていたところがあって、きっとまだそこにあるでしょう。明日には村に帰るので、さっそくヨモギ取りに向かいます。