ベトナムの旅 その8

6月8日の朝、同僚をタンソンニャット空港に送ってから、私はカントーという町に行きました。私もそんな町があることすら知らなかったのですが、松本にいるベトナム好きの友人のおすすめです。ホーチミンから西へ160キロ、バスで4時間半ほどです。町ではなく、人口100万を擁するメコンデルタ最大の中央直轄市だそうですが、私が4日間滞在したあたりは、支流のカントー川に臨む観光地で、新しいビルも、ましてやブランドショップもなく、ほとんど田舎町の風情でした。


友人がすすめてくれたホテルはアキがなかったのですが、まわりにいくらも小さな宿がひしめいているので探すことにしました。で、市場の方にぶらぶら歩いてゆくと、ちょうど真ん中あたりに、その場には似つかわしくない白亜の殿堂が聳えていたのです。入り口の扉には、星が4つほど付いています。はてさて、こういうところはいったいいくらくらいするのだろう?という興味のもとに、私はフロントに近づき、ほぼ完ぺきに忘れてしまっていた英語で話しかけてみました。するとまずはにこやかに椅子をすすめられ、赤い色がついたジュースが出て来たのです。スイカジュースでした。そしてその流暢な英語を話す若いフロントマンは、1泊700000ドンだというのです。えっ?700000ドン?700000ドン?私は2回聞き返しました。700000ドンということは、3500円ということです。私にとっては決して安い部屋ではありませんが、たまにはこれくらいの贅沢をしてもいいだろうと、そこに泊まることにしたのです。


通された部屋自体は小さくて、4つ星とはいいがたかったのですが、こじんまりと清潔で、私はとても気に入りました。そして、7階の部分がオープンになっていて、そこには小さいながらもプールがあったのです。私の部屋は8階でした。

そして、中国暮らしが長い身には衝撃でしたが、全館禁煙で、タバコは館内では吸うところがないのです。このプールがあるエリアは屋根がないので大丈夫。私はここに来てタバコをふかし、外の景色を眺めながら、4日間優雅な時間を過ごしました。このホテルは、一般的な感覚でいうと、“立地条件が悪い”ので安いのでしょう。たしかに、まさか?という場所にあるのです。ただし、私にとっては、最高の立地条件でした。


町の中心部の方向。


正面にカントー大橋が見えます。


これが真下の風景で、とにかく、市場の通りに面して建っているのです。



夜になるとこんな光景。深夜までトラックが行き来していました。おそらく、水産物を中心にホーチミンまで輸送されるのでしょう。