現殺現売

29日の関空西安春秋航空で、ゆうべ離石に戻りました。西安までは少し遠くて、4時間ほど乗らなければならないのですが、離石より東側の都市(北京、上海、石家庄など)に到着すると、そこから呂梁駅に戻る列車のチケットが購入できないのです。つまり、2月8日の春節が近いので、東側の都市部から西側の農村部に移動する人が多く、チケットはすでに売り切れ状況です。反対方向だといくらか余裕があったので、30日の西安−呂梁のチケットを、1週間ほど前に、ハルビンの友人に頼んで購入していました。どういうことかというと、(友人が)ネットで予約、支払いをして、当日私が西安駅の窓口に行って、パスポートを提示してチケットを受け取る、というシステムです。


29日は2時間遅延して、到着したのは午後11時を過ぎていましたが、空港近くの民宿に泊まり、翌朝リムジンで西安駅に出て、昼ごろの急行列車に乗りました。ですから、空港と鉄道の駅しか見ていないのですが、とにかく空気が悪くて驚きました。天候のせいかとも思ったのですが、宿の人に聞いてみると、やっぱり大気汚染が酷いんだそうです。ごらんのように、西安駅もどんよりです。最大の原因は、暖房の石炭です。


西安ウイグル族も多く住んでいるところで、このモスリムのパン屋さんがたくさん出ていました。なんていうのか、いつも名前を聞き損ねるのですが、インドのナンのように、壺形のカマドの内側にペタッと貼り付けて焼きます。これはパリッ!と香ばしくて、何もつけなくてもとってもおいしいのです。1枚4元。離石でもときどき見かけます。



西安は大学や専門学校が特に多いところなので、駅は若い人たちでごったがえしていました。すでに春節休暇に入ったのでしょう。学生たちの移動が一段落ついてから、一般の人たちの移動がピークを迎えます。乗った列車は天津行きでした。呂梁まではちょうど7時間。昼間の列車なので特に疲れることもなく無事到着しました。


ゆうべは常宿の7天酒店に泊まり、今日昼頃に街に出てみました。ちなみに、温度計は−9℃を指していました。銀行に行き、ネット料金を支払い、携帯の手続きをしてから、いつもの市場をのぞいてみましたが、春節までまだ1週間あるので、平常と同じくらいの人出、混雑するのはまだまだこれからです。

上の「現殺現売山羊肉」というのは、この場で屠殺して売ります、という意味ですが、村の方に戻れば、それが当たり前の売り方です。離石はやはり町なので、これを“売り”にしているということでしょう。



見ていると、何ともはや凄惨な売り方です。血しぶき上げて首が削ぎ落とされ、ぼたぼた流れ落ちる血から湯気が立ち上り、そこに犬がやってきてぺろぺろ舐め、極フツーのおっさん(当たり前のことですが)が、ひくひく震えている山羊の身体を、細身のナイフ1本で手早く捌いてゆきます。そしてまだ生暖かい肉の塊が、新鮮肉として、その場で売り買いされるのです。私は“幸いにして”肉をほとんど食べませんが、肉好きの人がこんな現場を見たらどう思うんでしょう?「うまそうだなぁ」なんて思うんでしょうか?まさかね。。。



鶏も、次々と喉を掻き切られてプラスチックの大きなカメ状の入れ物に放り込まれ、そのカメがガタガタバタバタと揺れて、中で生き物がのたうち廻っているのがわかります。牛はさすがに、現殺現売とはいきません。この頭は、葬儀の供え物に使われるのですが、けっこう高いです。


そんな後で、豆腐売りを見たら、なんだかホッとしました。



おなじみの光景です。この先界隈は、日に日に春節準備の人々でごったがえすようになり、商いをする人たちは、7日の「除夕」(おおみそか)に向けて、不眠不休態勢に入ります。彼らにとって、今年はいい(儲かった)年だったでしょうか?来年はどんな年になるでしょうか?肉を売る人も、豆腐を売る人も、野菜を売る人も、お菓子や雑貨や果物や服を売る人たちも、みながなべて“儲かる”年になるといいですね。