お母さんに会えたかな?

目当てを付けた人の家はほぼすべて廻ったのですが、けっきょく貰い手は見つかりませんでした。中に2人ほど欲しい、といった人がいたのですが、母狗だとわかると、「あ、いらない、いらない」とニベもない返事です。その上に、近所から苦情が出るようになったのです。今の時期、どこの家でも庭一杯に脱穀した穀物を拡げて干しているので、その上でゴロゴロやられては怒るのも当然でしょう。


招賢も考えましたが、まだ小さいので、あのノラ犬軍団にうまく参入できるかどうかわからないし、それ以上に、これ幸いとばかりに捕まえられて、食べられてしまう心配があるので気が進まず、けっきょく樊家山へ連れてゆくことにしました。私の足で30分くらいですが、帰って来るといけないので、なるべく匂いをつけないように抱いて連れてゆきました。

人家のあるところまで来て下ろすと、何か異変を察知したのか、私にぴったりとくっついて離れません。村は顔見知りばかりなので、私もついあちこちで話し込んだりして、けっきょく半日を要したのです。最後はまさに“断腸の思い”で別れ、賀家湾に戻ってからも、たかが犬一匹のために、どうしてこんなに悲しい思いをしなければならないのだろうと、うじうじ悩み続けました。

樊家山といっても広いので、子犬がうまく元の飼い主のところまで戻っていったかどうかは確認できないのですが、きっと探し出して、お母さんにも会えたのではないかと、希望的観測の元に、今回の捨て犬騒動に幕引きをしたいと思います。


翌日、例のDVDを渡すために趙家山という村に行ってきました。4人のうち2人が健在で、うちひとりに会うことができました。
で、その家で豚を飼っていたのですが、ちょうど子豚が8匹産まれて20日目くらいということでした。


これはまた別の母豚ですが、3歳だそうです。こんなに大きな豚は初めてみましたが、けっこうかわいいもんですね。でも咬むそうで、手を出したらいけないと注意されました。で、何年くらいで食肉として出荷するのかと聞いてみると、わずか半年なんだそうです。ですから、この子豚たちの余命はすでに半年を切っているわけで、かわいそうだなぁとはちょっと思いましたが、それで涙が出るということはもちろんありません。招賢の街中の肉屋では、毎朝路上で屠殺していて、ときどき遭遇するのですが、「やめてっ!」などと叫んだりは、もちろんしません。しかしもし犬だったら、私は叫んでしまうかもしれません。犬と豚と、どうしてこんなにも思い入れが違うのでしょう?


途中で道路の崩落現場に遭遇しました。完全に崩れ落ちて、コンクリートの路肩部分が、ぶらんと垂れ下がっています。手前側の山を削って臨時の道路ができていて、そこから撮りました。よく見る光景です。

昨日アップしたものが、なぜか一瞬で全部消えてしまいましたが、今日新たに書き直したら、およそ半分の量になってしまいました。涙なしでは語れない別離のストーリーを割愛したからです。