ふたたび蘭州街ブラ

23日に蘭州に戻り、切符売り場に行くと、運よく25日のチケットがありました。何百席あるか知りませんが、正真正銘その最後の1枚です。蘭州−呂梁路線は、1日に1本しかなく、午後3時過ぎに出て、翌日の午前3時に呂梁に着きます。そんな時間に着いて、もちろん迎えに来てくれる人がいるわけでなく、そうとうに厳しいですが、他の方法は、銀川で乗り換えるしかなく、これだと1日余分にかかってしまいます。まぁ、季節もいいことだし、最悪“夜明かし路線”を覚悟して購入しました。

先回泊まった西湖公園から、バスで1駅東に行った、「西関什子」(xi guan shi zi)という辺りが最も賑やかなところのようで、ぼちぼち徒歩ででかけました。これがまた遠かったんですね。中国のバス停というのは、必要に応じて設営されるので、間隔がものすごく短かったり長かったりします。もっとも、離石くらいの田舎だと、必要に応じて手を挙げれば止まってくれますが。

日曜日のせいもあって街は大賑わい。若者と庶民の繁華街ですね。ブランド衣料の店などは見当たりませんでした。



この“中華クレープ”がめちゃ気に入って、私は蘭州で3回も食べてしまいました。同じようなものを北京でも離石でも売っているのですが、蘭州のものはなぜか“山東風味”だとかで、この皮に、高粱や粟や稗や蕎麦や、とにかく20種類くらいの雑穀を使っているそうです。ものすごく薄く焼くのが特徴で、味噌っぽいたれと唐辛子を塗って、中に油で揚げたせんべいみたいなものとレタスを挟んでくるくる巻き、二つに切ったものが、前に並んでいます。1枚4元。中にソーセージを加えると5元。中国人はなんだかソーセージが好きですね。


ここは、大連から来たイカ焼き串と韓国の餅と武漢のなんだかわからない串焼きを売っていました。この大連のイカ焼きというのも全国どこにでも出回っていて、香辛料がバッチリきかせてあっておいしいです。1本2元。


このさくらんぼは500グラムで15元。日本では高くて食べられないので買ってみましたが、お味の方はやっぱりお値段相応ということでしょうか。さくらんぼは季節が来るとあちこちで売っています。つまり、桜の木があるということでしょうね。


路上で牛蒡を売っていました。これは寧波でみたものと同じです。後ろの箱に、健康という文字が見えるので、やはりそれで売ってるんですね。生産地を聞いておけばよかった。


ミニトマトもどこででも見かけますが、必ず果物屋で、八百屋ではみかけません。普通のトマトは八百屋。けっこう厳格なテリトリーがあるみたいです。


クワの実もときどき見かけます。そりゃ、絹の大産地なんだから、当然でしょうね。売り子さんがいなかったので、値段は聞けませんでした。


この牛の頭は、たぶん、スライスして酒のアテにするのでは、と思ったのですが、イスラム系の人は酒を飲まないので、違いますよね。どうやって食べるんでしょうね。ウチの方では、豚の頭を売っていて、酒のアテにしています。けっこう高いです。


チキンを売っているこのおじさんは、東郷族という少数民族で、みなイスラム教徒だそうです。チキンは1羽50元前後。


この屋台というか、バイクに括り付けた荷台で売っているのは、「涼皮」という、わらび餅みたいな感じのおやつです。「臨夏」というのは、夏河に隣接する回族自治州。夏河ー蘭州のバスで通過するのですが、町中がモスクだらけです。



繁華街のど真ん中に、押しつぶされそうにして道教の寺がありました。


チキンを売っていたおじさんお勧めの店でもう一度涼面を食べました。ここは、酢とニンニクと唐辛子のたれで、私は馬有布の方がおいしいと思いました。馬有布は、全国に300店ほど支店があるそうです。


現金輸送車。私が近づいても、「なんだ、ばあさんか」て感じで無視されましたが、若い男性だったりしたら、発砲されかねませんよ、気を付けてください。


これはもう蘭州駅で列車に乗る前ですが、こんな装甲車がドデン!と陳列してあってギョッとしました。写真でははっきりしませんが、現物はものすごい威圧感があって、“暴動”を起こすと、こんなのが出てくるのかと思うと、怖いです。


列車の中から見えた黄河。蘭州より下流になるわけですが、ずっと川幅は狭いです。しばらく先で、もう一度黄河を越えましたが、つまり長江のように平坦な川筋ではなく、黄河は至る所で曲がりくねっているので、川幅も広くなったり狭くなったりするようです。


中国の列車は実にいろんなものを売りに来ます。日本と同じくカップ麺や飲み物はもちろんですが、「鉄路局」傘下に大小さまざまな企業があって、よく見るのは、歯ブラシ、靴下、おもちゃ、ルームアクセサリーなどでしょうか。この写真のおじさんは「站台票」という、プラットホームの入場券の青蔵鉄道記念票を売りに来ました。いつも思うのですが、実に口上がうまいんですね。聞いてみたら、やっぱりそれ専門の職員なんだそうです。鉄道マニアの同僚がいるので、つい1セット買ってしまいました。

翌日午前3時に呂梁に着くと、例によって黒車(白タク)が待ち構えていましたが、ぼったくられること必定なので、待合室で朝まで待つことにしました。しかし中国の駅は、「進站口」と「出站口」が完全に分かれていて、これから乗る切符がないと待合室には入れません。私は「こんな時間にひとりでタクシーに乗るのは怖いから…」と、極力気の弱そうな口ぶりでいってみたら、さすがに中に入れてくれました。待合室の固いプラスチックの椅子にもたれて、今回の旅も終わった、なかなか収穫の多い旅であったと、反芻しているうちに眠り込み、昼前にハッと目が覚めて、蘭州ー夏河の旅は無事終了しました。