牧羊犬




牧羊犬という名前や、“羊の番をする”といった程度の役割に関しては、私も知っていました。しかし考えてみれば、羊の番といったって、羊小屋の前で座り込んで見張っているならともかく。広い草原の中でどうやって“番をする”のだろうと不思議に思っていたら、今日、天葬台に行ったときに、実際に目撃して、感動しました。

2枚目の写真にあるように、牧羊犬は少し離れたところで羊たちの行動をじっと観察していました。そのうちに、羊の群れの一部分がゾロゾロと左手の方に移動しだしたのですが、ある所まで行くと、越えてはならない境界線があるのでしょうね。あるいは、羊の群れの分断を阻止するためだったのかもしれません。もちろん近くに牧民の姿はありません。とにかくその動きを察知した刹那、キリッッ!と体制を立て直して、まさに放たれた矢の如く一直線に、その見えない阻止線の上をサァーーーッ!と駆け抜けたのです。すると羊たちはその阻止線の内側、つまり右手の方にゾロゾロと戻ってゆきました。牧羊犬は、すでにかなり離れたところにいて、なんだか遠くの方をじっと見ていました。ほんとうに一瞬のことで、私は声すらたてられませんでしたが、その姿の凛々しかったこと、カッコよかったこと、アアッ私もあんな犬が欲しい!と思ってしまいました。




しばらく歩いていると、遠くに馬に乗っている人がいるのがわかりました。もしかしたらこの牧羊犬の飼い主かもしれないと思って近づいてみると、それは10代とも思える若い女性でした。まったく言葉が通じなかったのですが、とにかく後姿だけ撮らせてもらいました。チベット服というのは、基本的に男女同じかたちで、腰のベルトに挟まれている鮮やかな縞模様の部分が袖口です。「冬虫夏草」のエントリーの最初の写真の右端の男性が着ていますが、夏場は肩脱ぎをして、腰のベルトに挟むのが一般的な着方です。



またしばらく歩いていると、草原の真ん中でこんなおばあちゃんが座り込んでいました。何をしているのだろうと近づいてみると、おばあちゃんはブレスやネックレスなどを売っていたのです。やっぱり観光客が来るということですね。言葉は通じないのですが、20元とか30元という金額だけはいうことができるようです。今日は他にお客さんもいなさそうだし、短い期間しか商売できないだろうと思って、ブレスを2つ買ってあげました。


これがヤクです。中国語では「〓牛」(mao niu)〓は、牛へんに毛。


でも、ヤクの子どもは、どこから見ても牛ですよね。