生きものたちの季節

今の時期、動物も植物も、1年で最も活動が盛んな季節ですが、私の身近ではどんな生きものたちが動き出しているのかご紹介しましょう。

鳥類を除くと、野生動物はきわめて少ないのですが、ネズミはともかく、野ウサギを時々見かけます。最近は山の方へほとんど行かなくなった(なつめがいなくなったから)のですが、つい昨日、ウチの前の簡易舗装された道路を、ぴょんぴょんと駆け抜けてゆきました。一瞬でアリスの気分になりましたが、とても追いかけることなどできず、ほんの数秒で姿を消してしまいました。通りがかった村人に、「いまウサギが目の前を走って行ったよ!」というと、「いるいる、ウサギなんていくらでもいる。家の中にまで入って来るよ」なんていっていましたが、これは冗談でしょう。昔はなつめが追いかけていましたが、とても勝負にならないですね。“脱兎のごとく”という言葉の意味は実感できます。

30年くらい前までは、オオカミがいたと村人はいいますが、3年前には、複数の村で夜間に羊が何頭もやられて、それはオオカミの仕業だと村人はいっていました。野犬の群れが凶暴化したものではないかと思うのですが、はっきりしたことはわかりません。


鳥類は多いです。スズメ、ハトはわんさかいますが、次いで目につくのがカササギ。これは1年中います。鳴き声がガチャガチャとやかましくて、私は好きになれないのですが、賑やか好きの中国人は、これを喜鳥(xi niao)といって歓迎します。



ウチのすぐ前が浅い谷になっているのですが、最近そこで山カササギの姿を見かけるようになりました。以前はその名の通り、人里をやや離れた山の方で見たのですが、去年、初めて村の中で見ました。これは常に6、7羽くらいの群れで活動しています。前にここで名前を聞いた、カラスみたいな黒い鳥も昨年くらいから、この谷で見かけるようになりました。人口が減少して、村の植生が以前よりも森林化してきたことと関係があると思います。


ポポの営巣活動は真っ最中で、1日中あちこちから「ポポポ、ポポポ」と鳴き声が聞こえます。この谷にも何組かが子育てをしています。写真は、珍しくウチの庭に降り立ったもの。



ウチの庭の空ヤオトンで、ツバメの一家が暮らしています。朝になると、「ギュッギュッ、グチュグチュ、ギギギーッ」と、とても賑やか。少なくとも6、7羽はいるみたいで、こうやって時々マンションの窓から外を眺めています。もうひとつの空ヤオトンにジョウビタキのオスが入っていくのは確認しているのですが、営巣しているかどうかはまだわかりません。


それで、私の部屋の横に“巣箱もどき”を作ってみたのですが、さっぱり日当たりが悪いし、入居者が出るかどうかはわかりません。キツツキがトントントントンッ!と樹を打つ音はしょっちゅう聞こえますが、これは年中耳にします。いまはまだカッコーの声をきいていませんが、あの声が聞こえるようになると、季節は盛夏です。



で、その巣箱もどきの手前側が土の壁になっているのですが、そこにこんな穴がたくさん開いています。全部で20個くらいはあるでしょうか?これが、蜂の巣なんですね。形状からいって、蜜蜂だと思うのですが、こんなところに巣を作るなんて初めて知りました。穴の直径は1センチくらいありますから、かなり大きな蜂です。これがまたうるさいんですよね。自分の穴を探してブンブン飛び回るのです。間違って入るとすぐに出てきて、またブンブン長い間滞空して、私の部屋にもしょっちゅう入って来ます。害虫じゃないので叩き潰すのもかわいそうだけれど、ほんとうるさいです!でも、穴の中がいったいどうなっているのか?メッチャ見てみたいです。


で、もう1種類あって、これは部屋の上部の電気の引き込み線のところに巣を作っている蜂。これは刺されたら痛いので、とっぱらおうかとも思うのですが、この先どんな風に棲家が出来上がってゆくのか、それも興味があるので、今のところそのままです。

とにかく、何が多いかといって、昆虫は種類も量もめっちゃくちゃ多くて、うんざりさせられることこの上ないです。とにかく、部屋中がすべて土でできているわけだから当たり前のことで、布団にはいってからも、あちこちからゴソゴソガサガサ、虫たちの独唱や合唱が始まって、やたら耳だけはいい私は、なかなか寝付けないことも多いのです。

サソリは、今は外の方が暖かいので、部屋の中には侵入してきません。乾燥しているはずなのに、カマドウマがけっこういます。当地のゴキブリはかなりの声で鳴きます。ゲジゲジが大量に繁殖していて、親子でぞろぞろ壁を這っています。こないだは、布団の中で毒毛虫にやられて、朝まで眠れませんでした。蚊はあまりいませんが、ハエは常に50匹くらいはブンブン飛び回っています。夏場は極力太陽光を部屋に入れて、少しでも室温を上げなければならないので、部屋の扉は開けておくのが当地の習いです。ちなみに、現在の室温は17℃。夜は、遅くまで部屋の灯りを付けているので、ほとんど誘蛾灯の役割をはたしています。虫嫌いの人にとってはまるきり“拷問部屋”、昆虫大好き人間にとっては“小さな楽園”です。


棗は、夏目ともいって、夏になってから芽が出るというほど、開葉が遅い樹です。左側が棗、右側は桃です。去年は全滅に近かったけれど、今年はどうなることでしょう?一昨日少しまとまった雨が降って、昨日今日と、村人たちは種蒔きに忙しく立ち働いています。農作物の収穫のほとんどが、いまだに天候に依拠せざるを得ないというこの地で、今年もまた過酷な夏がやってきたのです。