彩票(cai piao)


イージャオが始めた商売というのは「彩票」、つまり宝くじを売る店を離石の中心部で開いたのです。とにかく当地の人たちはバクチ大好き、お金大好きなことこの上ないので、彩票を売る店は至る所にあり、離石の中心広場の片隅では、屋台でも何軒か店を並べていて、常に人だかりがしています。



私自身は、人生そのものがバクチみたいなもんですから、パチンコも競馬も宝くじも、それぞれ片手で数えられるほどしか経験したことがなく、ほとんど興味がありません。なので、彩票というものがどういう仕組みになっているのかまったくわからないのですが、今回クロのことでシャオドンを訪ねたので、店の中の様子をのぞいてみました。お客さんは、夕方以降に集中するようで、その時は2人しかいませんでしたが。



彩票は、1枚5元10元20元30元と4種類あって、4桁の数字を指定して購入するのだそうです。その後なんだかよくわからないけれど、結果が10分とか30分後くらいに出るそうで、店にあるモニターに映し出されて、それをシャオドンが店に貼り出されたグラフみたいなものに書き込んでいました。大当たりはいくらくらいになるのか知りませんが、いずれにしろ、次回にもう少し詳しく聞いておきましょう。

で、これは最終的に国が管理している商売なので問題ないのですが、お金を賭けたバクチは、もちろん中国でも非法です。安ホテルに泊まると、部屋の扉などに、必ず「売春、薬物、賭博厳禁」と書いてありますが、つまりそれが現実ということでしょうね。

村でも農閑期はもちろんのこと、農繁期黄砂酷暑極寒大雨風雪などものともせず、時に陽だまりで、時に日陰で、時に文化広場で、彼らの姿を見かけないことは1日としてありません。以前は、バラしたタバコを1本ずつ賭けていることが多く、娯楽の少ない村人たちのほんのお遊び程度だったのですが、最近は“現金”を賭けているようです。もっとも、私が目にできる範囲では、1元とか5元、せいぜい10元札止まりでした。

ところがつい昨日、村の“とある人”の庭先で、見たことがない男たちが7、8人、見たことがないバクチをやっていたのです。しごく単純なもので、上面が正方形になっていて、その1方向に矢印が刻んであるコマを回して、胴元が正方形の蓋をガバッと被せてコマの回転を止め、蓋をあけて、その矢印の方向に賭けた人が勝つわけです。1回の賭けに2、3分しかかかりません。ものすごいスピードでジャンジャン賭けてゆくわけで、男たちは真剣そのもの、“殺気”に気圧されて写真も撮れませんでした。それもそのはず、賭けているのは全部100元札で、2、3か月分の収入があっという間に動く金額です。“とある人”以外は、他の村の男たちでした。

で、今日、その“とある人”に会ったら、昨日私が帰った後に、警察が踏み込んできて、自分は逃げたけれど何人かがお縄になったというのです。誰かが密告したわけです。もしかしたら私を疑っている人もいるかも知れません。で、彼らはどうなるのかと聞いたら、胴元が3000元、その他がそれぞれ2000元の罰金ですでに放免されたそうです。当然のことながら懲りることない面々でしょうから、すぐにまたどこかの庭先で御開帳するんでしょうね。

それでようやくわかったことがひとつあるのです。これまでなぜみんな外でやるんだろう?部屋の中でやれば見つかりづらいだろうにと思っていたのですが、これは誤りです。ヤオトンは開口部が1か所のみですから、踏み込まれたら絶体絶命、全員がお縄になること必定ですからね。