紋付鳥の帰還

私は3月31日の夜は離石に泊まっていました。そして4月1日の午後に部屋に帰ったのですが、窓の下のところに小さな鳥のフンが2つ3つ落ちていました。一瞬あれっ?とは思ったのですが、特に気にも留めずにいたら、夕方になって、カッカッと、聞き覚えのある鳴き声が庭から聞こえてきました。えっ、もしかしてジョウビタキが帰ってきた?と思って、暗くなってから懐中電灯でチラッと照らしてみたら、いたんですね、去年とまったく同じところに。びっくりしました。嬉しいというより、ほんと驚きました。そんな習性があるのかとネットで調べてみたのですが、営巣していたわけでもないので、よくわかりません。

しばらくはそっとしておいた方がいいと思って、写真も撮らず、外でガタガタ音もたてず、ギーギーいっていたドアの蝶番に油もさしました。それでまたネットを見ていたのですが、おもしろかったのは、ジョウビタキのことを「紋付鳥」と呼ぶ地方があるみたいですね。なるほど、確かに紋付の羽織を着ているようです。昔の人ってうまいこというなぁ。

で、紋付鳥は、お母さんが死んだときに、化粧や紋付を着たりで支度に手間取ったため、死に目に会えなかったそうです。それで今でもしょっちゅうぺこぺこ謝っているのだとか。こういうストーリーを誰が考えたんでしょうね、想像力がありますねぇ。



つまり、2晩は間違いなく私の部屋の窓のところの電気の引き込み線の上にいたのですが、3日目になると、帰ってきた合図は聞こえたのですが、姿が見えません。おかしいなぁ、私は別に何もしなかったのにどうしたんだろうと思っていたのですが、翌日、夕方になると、カップルで戻ってきたのです。これまで見たのは常に単体でした。


それからも毎日日が暮れると同時にきっかりと合図の声が聞こえるのですが、姿は見えません。で、しばらく観察してみると、どうやら、私の部屋の反対側にある空き部屋(このヤオトンには4つの部屋がある)の中に帰ってゆくみたいなんです。そこで営巣しているのでしょうか?



もうひとり、いえ一匹、最近私の部屋にたびたびやってくるお友達が増えたのです。名前は「ドゥドゥ」。なつめとお母さんが一緒かしらと思ったのですが、そうではないようです。この子もものすごく賢くて、たった1回、焼き芋をあげただけで、すっかり覚えてくれて(それまでは、私がじっと見つめているとワンワン吠えてました)、谷の方にあるヤオトンで飼われているのですが、私が上から名前を呼ぶと、ものすごい勢いで駆け上がってきます。ただ、ものすごく汚いので、一度洗ってあげないと、だっこすることもはばかられます。当地では、犬はおろか、人間様でも生涯風呂に入ったことがない人がザラにいますから。でも、サツマイモはもうなくなってしまったし、明日招賢の市だから、また骨でも買って帰りましょう。もっともあまり“いいもの”ばっかりあげちゃうと、自分の家に帰らなくなって、それも困るんですよね。