“日本人代表”

高家庄(gao jia zhuang)という村に行くために招賢に下りたら、ちょうど葬儀のメインである「午典」(wu dian)の最中でした。招賢は小さいながらも町ですから、住居が密集していて、庭もない狭い通路のようなところで中にも入れませんでしたが、ちょうど知り合いがいて、裏口から通してくれました。



他の地域のことは知りませんが、当地では、こうやって写真館のプロに来てもらって、葬儀の一部始終を記録してもらうのが流行っているのです。私が葬儀の記録をずいぶん撮らせてもらえたのも、こういった習慣があったからこそです。



これは、故人の来歴など、故人がどんなに苦労して子どもたちを育てたか、というようなことを、独特の節をつけて延々と、時には1時間くらいも読み上げるのですが、それを聞きながらみなすすり泣くのです。これは男も泣きます。で、カメラマンは特にそういうところに近づいて、カメラを廻します。本人の1mくらいまで、参列者をかき分けて接近してくるのです。で、それをまた近所の人たちが取り囲んで見守り、一緒に泣いたりもするのですが、まさに“劇場型”の葬儀といえるでしょう。びっくりしたのは、こうやって撮られたビデオがDVDに焼かれて、市などで1セット20元くらいで売られているのです。肖像権も著作権もまったくおかまいなし。それをまた買う人がいるんですね、私も買いましたが。


高家庄の用事は30分ほどで済んだのですが、近くの結縄焉(jie sheng ye)という村で市が立つ日だというので、足を延ばしました。離石に行く途中の村です。比較的大きな市が立つところですが、今日は出店は少なかったようです。


胃の調子がよくないので、しばらく避けていたのですが、なぜかここのおっさんが私のことを知っていて、食べて行きなよ、というので、久しぶりにだんだん麺を食べました。ものすごく油っぽいのですが、ソースの匂いにつられてつい完食してしまいました。今晩また調子が悪くなるかも。

招賢の市には出ないのですが、こういう店はお酒も飲めて、近くのじいさんたちが、小銭をもって、一杯やりに行くのを楽しみにしているのです。私はそういう雰囲気が大好きだから、次回はもう少し早い時間に来て、仲間に入れてもらおうと思っています。


私の貴重な蛋白源豆腐をまず買いました。3つほど出ていたのですが、一番よく売れているおじさんのところで5元。豆腐も人によってずいぶん味が違うのです。右側の白いのがおからですが、最近は豊かになったので誰も食べないといっていました。よほどもらってこようかと思いましたが、重いので遠慮。


アッ、離石でシェーバーの刃売ってたおっさんだ!



羊の毛皮が、120元から150元の間で攻防が続いていましたが、けっきょく140元でケリがつきました。手前の人がバイヤーですが、帰りがけに「おまえ、今度いつ日本に帰るんだ?」といわれて、え〜〜っ、私はこんな人知らないよ。

いつもいつもいつも思うことですが、ほんとうに自分の行動には、極々ささいなところまで気を使わなければいけません。好むと好まざるとを得ず、彼らにとっては、私は“日本人代表”以外の何者でもありませんから。

それからサモエド君のために骨を5元買って(おじさんはいらないといったけれど、そこは日本人だから。。。)、なかなか来ないバスを待つのを止めて歩き出しました。日が傾くと急に寒くなって、とてもじっとなんかしていられないからです。1時間ほど歩いて、バスに拾ってもらって、招賢からまた40分ほど歩き、すっかり暗くなってから、ようやく家に帰りました。よく歩いた1日でした。