ペット犬悲哀

今日昼前に外に出たら、文化広場の前の陽だまりで、サモエド君の飼い主がのんびり将棋なんか指しているので、「今日はごはんあげたの?」と聞くと、「まだ」。「じゃ昨日はちゃんとあげたの?」「あげてない」と、シラッというので、もうどうしようもなくて、私が部屋に戻って残りご飯とありあわせの野菜(これは実は豊富にあり)を放り込んで雑炊にして持って行きました。何をいっても何度いっても、暖簾に腕押し、糠に釘で、私もいいかげん切れそうになります。よその犬なんだから放っておけばといわれても、あの訴えるような寂しそうな目がちらついて、どうしても気になって仕方がないのです。

チベット犬を飼っている家が2軒あって、1軒はメスだけ、もう1軒はオスメス2匹飼っています。チベット犬は、盲導犬に訓練されるレトリーバーよりもう一回り大きく、“獰猛”な犬種なのでオリに入れて飼われています。飼い主以外には絶対になつかないので、さすがの犬好きの私も恐ろしくて、写真を撮りにすら近づけません。

ただし、純血種は国に保護されている希少種のようで、市場に出ているチベット犬がどのようなものなのか、詳しいことはわかりません。で、このチベット犬が夜昼なく、ほんとうによく吠えるのです。吠え続けるのです。私のところからはちょっと離れていますが、近所の人がよく苦情をいわないものだと、不思議です。

ゆうべも気がつくと12時頃でしたが、いつまでもいつまでもウオン、ウオン!ウオン、ウオン、ウオン!と吠え続けて、じっと耳をすませていると、なんだか切なくなってしまいました。届くはずもない、遥か遠くチベットの高原に住む仲間たちに、早く自由にして欲しい、神々の住む蒼き峰の麓に還りたいと、救けを求めているようにも聞こえたのです。

チベット犬はものすごく高くて、以前、隣の樊家山で飼っていた人に聞いたら、2万元で売れたそうです。あのいつぞやの、清朝の大門と同じ値段です。子犬がいくらで取引されるかしりませんが、生涯をオリの中で暮らして、子どもだけ取られて、繁殖能力がなくなったら谷にでも捨てられるのでしょうか?ほんとうにやりきれないです。



離石の中央広場でおもちゃを売っていたおあにいさんが連れていた子犬。これはおそらくチベット犬の子どもだと思います。


離石のペットショップにはサモエド君がいました。急いでいたので中まで入りませんでしたが、ポメラニアンはちらっと見えました。次の機会に、どんな犬がいくらくらいで売られているのか、確かめてみましょう。


蛇足。私のオアシス、ケンタッキーで。お母さんが子どもをカウンターの上に座らせてから、長々と注文をしているので、もう私は超ムカついて、近くにいた従業員に「下ろさせなさい!」といったのですが、無視されました。