シャーターへの旅

時間が少し前後しますが、私は生徒たちを15日朝、大連空港で見送り、その日の夜に北京に飛んで夜を明かし、翌日午後名古屋に着いたわけです。ビザの延長のためですが、必ずしも帰国する必要はなく、要は、3ヶ月以内に一度中国から出国すればいいわけです。香港でもOKなのですが、大連からだと日本への航空券の方がずっと安いので、日本に戻りました。しかし、今後もこの調子では、財政面から、私の中国暮らしも破綻しそうです。

で、17日の朝、北京空港の出発エリアで搭乗を待つ間に、私は今回の旅のどんな出来事、どんな風景にもまさって、う〜んと唸らされる光景に出くわしたのです。



私の搭乗口のすぐ近くで、上の写真のような団体客が搭乗を待っていました。掲示板を見ると、ヘルシンキ行きのようです。彼らは一目で「回族」の人たちだということはわかりますが、フィンランド???というのがわかりません。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9E%E6%97%8F

気の良さそうなおっさんをつかまえて、さっそく聞いてみました。すると「シャーター」というところへ行くというのです。別の人に聞いても同じく、「シャーター」。北京や河北省の人たちのようで、総勢300人。

イスラム教徒の人たちが団体で向かうところ、といえば、これはもう目的地はただ一つ、メッカしかありません(あとで辞書を引いたら、sha ta =サウジアラビア)。

印象的だったのは、男たちはみなうきうきざわざわとても嬉しそうで、生涯一度の旅の前に高揚していましたが、女性たちはどちらかというとおどおどと不安げで、考えてみれば彼女たちは、日ごろ滅多に遠出することなどないのでしょう。

彼らに聞きたいことは山のようにあったのですが、私の方の搭乗時間が迫っており、まさに後ろ髪を曳かれる思いでその場を後にしました。わかったことは、彼らの旅程が40日間であることと、旅費がひとり5万元であることだけでした。

参加者のほぼすべてが中年以降の人たちで、つまり夫婦で参加しているのだと思います。現在のレートで換算すると、一夫婦で200万円という金額です。(ちなみに、昨日北京空港で見たら、ついに1万円で500元を切りました。涙)。

いくら一生に一度の旅とはいえ、それだけの出費ができるほど“豊か”になったということでしょうか?また、彼ら回族は、民族的には漢族ですが、同じイスラム教徒でもウィグル族の人々が、こうやって大団体で嬉々として空港のロビーを埋め尽くすことを、政府は許しているのだろうか?などなど、多くは書きませんが、いろいろ考えさせられる光景ではありました。