棗がみのらない夏

異変が起きているのです。私が村に帰った時点ですでに4日ほど雨が降ったらしいのですが、その後もずっと降り続いているのです。途中1日晴れ、今日は晴れました。だいたいがしょぼしょぼと降ったり止んだりの雨ですが、3日ほど前は、1晩で50ミリほどの大雨が降りました。今後の予報でも、まだまだ降り続きます。

予期したとおり、先日の大雨が引き金となって、あちこちで小規模な土砂崩れが頻発しています。離石行きのバスはもちろん止まっています。昨日一昨日は、なつめの散歩の間にも、ドドーッ!ドーン!と土砂が崩れる音を何度か聞きました。ほんとうに簡単に崩れるのです。

ウチの壁も崩れました。ちょうど崩れるところを見ていたのですが、あっけないものです。でも、家の壁程度の崩壊なら、直すほうも簡単で、写真を撮る間もなく、薛さんが修理してしまいました。トイレが完全にふさがってしまったので、すぐに直すより他ないのです。上の写真はウチではありません。左側の家は去年まで人が住んでいたのですが、今は無住。誰も修理しないのでこのまま放置、そして徐々に廃屋となってゆくんでしょうね。

未舗装の坂道は、水が走ってすぐにこのようにえぐれます。

陥没して向こう側に行けなくなりまりました。

道の端にこんなふうに亀裂が入っているので、畑に出る道はほんとうに危険。壁側に貼り付くようにして歩かなければなりません。

きのうは道がなかったけれど、今日はありました。かように、直すのもほんとうに素早いです。

乾燥した黄土高原でも、雨さえ降ればほら、こんなふうにきのこが生えるんです。

実は私の畑にも、突然こんなきのこが3個出現したのです。長径が10センチ以上もある大物です。どう見てもシイタケで、ときどきシイタケの軸先を捨てるので、胞子がついていても不思議ではありません。でもきのこは危ないので、止めておきましょう。

この雨の降り方も尋常ではありませんが、実は異変はそれだけではないのです。作物がみのらないのです。まず、村人がもっとも丹精を込めているトマトがほとんど実をつけないのです。

かぼちゃもまったく実をつけません。それでも、つけている家もあることはあるのです、ほんの数軒ですが。

去年はウンザリするほど実をつけたインゲンも、日本から戻った日に、たった5つだけ収穫しました。

村人は、今回の雨が降るまで、春からずっと乾燥が続いたのでそのせいだろうというのですが、その時期に降らないのは毎年のことで、降らない降らないといっつもいっています。それに、村人は誰一人作っていない、私のミニトマトは、立派に実をつけているのです。

そして、村中至るところに、庭にも道にも畑にも、右を見ても左を見ても上を向いても下を見下ろしても、必ず目に飛び込んでくる棗が、さっぱり実をつけないのです。つけているものもありますが、例年の半分くらいかそれ以下。まったくつけない樹も多いのです。

これはいったいぜんたいどうしたことなのでしょう?界隈は炭鉱があるので、石炭を運ぶ大型トラックの排気ガスで激しく汚染されているはずです。もしかしてそれと関係があるのでしょうか?地球の大きな気候変動を敏感に察知しているのでしょうか?“沈黙の春”の先触れかしらと考えるととても不気味です。