なつめ ふたたび北京へ

ちょうど1ヵ月間も空けてしまい、またまた「どうしたっ?」というメールもいただきましたが、何事もなく平穏に暮らしております。ただ、日常生活そのものがとても忙しくて、水汲みに始まり、畑の仕事、黄砂の掃除、往復1時間以上の買い物、なつめの安全確保等々の合間に、葬儀があり、唱劇があり、停電があり。。。なかなかアップできなかったのです。

私のミニ畑には、現在、レタス、ほうれんそう、にんじん、ネギ、トマト、きゅうりが植えつけてあり、今日これからインゲンを蒔きます。これらは決して“趣味の園芸”の部類ではなく、これにかける時間と労力を考えたら買った方がずっと安上がりなのですが、その買い物にかかる時間と労力を再び考えると、やっぱり自分で作った方がマシだろうと判断して、“にわか農民”をやっているのです。

レタスはもうぼちぼち間引きながら食べています。こっちは乾燥しているせいか虫が少ないので、とてもきれいなレタスができます。肥料は下肥と落ち葉のみ。“安全”であることは間違いないです。

ひとつ自慢できることがあって、昨日のことですが、近所のばあちゃんがやって来て、「あんたが去年作ったインゲンの種あったらくれない?」というのです。とってもデキがよかったから。正真正銘の中国農民にそういわれるというのも、なかなかのものではありませんか。

で、ちょうど1ヶ月ということで、15日になつめを連れて再び北京に注射を打ちに行って来ました。先回とまったく同じコース、同じ人員だったのでいくらか楽ではありましたが、それでも70近いばあさんが、ひとりで“生き物”を連れて、自分の荷物やなつめのご飯とふとんまで持って、2泊3日で北京まで往復するというのは、ハードなことこの上ないです。

上の写真は、仏教聖地として有名な五台山の「服務区」です。太原→北京間は2コースの高速があり、この北側のコースは距離が長くなるためずっと空いているのです。太行山脈をぶっちぎる雄大なコースで、時間さえあれば停車して写真を撮りたかったです。なつめは、レンズを向けると必ずそっぽを向きます。だから目線のある写真を撮るにはけっこう苦労するのです。

今回は、2回目の狂犬病予防接種の他に、血清を採ったり、耳とお尻の穴に綿棒を突っ込まれたりと、なつめにはご難でしたが、でもそういうのはぜんぜん嫌がらないですね、不思議なくらい。これは血清を採っているところです。後ろ足首あたりから採りました。平気な顔してるでしょ。

まずは2回注射を打ってから、その後にものすごい煩雑な手続きが多々あって、言葉と足の問題でそれを心配していたのですが、なんと、この病院には税関の出張所があったのです。そして、病院の担当職員が手馴れたもので、どんどん書類に書き込んで、私はサインするだけで、1時間もしないで、すべての手続きが完了してしまったのです。血液を日本の検査機関に送らなければならないのですが、それも病院の方でやってくれます。とうぜんお金はしっかり取られましたが。

聞き耳を立てていると、「アメリカへ犬を連れてゆく」とか「ドイツに猫を」といった話し声が聞こえます。出張所があるくらいだから、毎日相当数にのぼるんでしょうね。繰り返しいうのはむしろ失礼にあたりますが、ほんとうに中国も豊かになったものだと思います。

“病室”というのは、仕切りの付いた机(投票所の机みたいな感じ)が10個体分くらい並んでいましたが、一目見て血統書付きとわかる、“立派”な犬や猫が横たわっていました。交通事故にでも遭ったのでしょうか、包帯をぐるぐる巻きにされた大型犬の前で、付き添いの人が神にでも祈るような面持ちでじっと見つめていたのが印象的でした。

とにかく嫌がるのは、ペットショップのケージの中に入れられることで、先回は、ドンッ!と私の手を振り切って外まで逃げ出し、捉まえるのに苦労しました。今回は慎重にやったのですが、すごい力が出るものですね、頭だけ入れても前足で踏ん張ってやっぱり苦労させられました。まるで“ムンク犬”です。

北京→太原の車の中。全部終わったことがわかるんでしょうかね、安らかによくお休みになっていました。

諸般無事に終了し、太原の街角で、磧口から迎えに来てくれるミニバンを待っているところ。これで、半年後、11月16日以降なら、なつめを日本に連れて帰ることができます。出国前の新たな手続きと検査等々に3日間かかりますが。

しかし何度もいうように、この、広大なる黄土高原を毎日走り回っている犬が、果たして日本の狭苦しい環境になじむことができるかどうか?幸か不幸か、隣との関係で、最近はロープに繋いでいる時間が長いのですが、この先は徐々に散歩のときも繋がなければならないなぁと、新たな悩みは尽きることはありません。