窑洞博物誌 磨(mo)、碾子(nianzi)

手前にあるのが「磨」(モウ)という石臼です。テーブル状の石の上に、2枚の大判焼き状の石が乗っていて、上の穴から穀物を入れます。右手の穴と反対側にあるもうひとつの穴に棒を通して、ふたりで両側から回します。2枚の石の真ん中で穀物が磨かれて粉になって下のテーブルにこぼれ落ちる仕掛けです。当地の方言では「外」(wai)ともいいますが、現在も使われている磨は、この村にはないそうです。

向こう側にあるのは「碾子」(ネィエンズ)と呼ばれる石臼。当地では、だいたい3軒に1軒くらい碾子がありますが、今は使っていないものが多く、もっぱら洗ったものを干したり、収穫物を乾燥させたり、犬猫の御休み処になっていたりします。

最近は主食の小麦粉は挽いたものを買っているので、碾子を使うこともあまりありませんが、今も立派に機能している碾子もいくつかあります。

これはキビを挽いているところです。tiao zhou で、粉がこぼれないように真ん中に寄せながら臼を廻します。油糕(ヨウガオ)という冠婚葬祭につきもののキビ餅を作るためで、普段でもたまには作ります。私が「いつ作るの?」と聞いたら、しばらく考えてから「じゃ、あした作るから食べにおいで」といわれました。