招賢鎮中心衛生所

一昨日、いつもなつめを預かってもらう賀ゲンワン家のオクサンの弟の息子の結婚式があるということで、頼まれて写真を撮りに行きました。普通なら断る話ですが、なつめが世話になっているのでそういうわけにもゆきません。

バイクで20分くらいの大長という村に行ってみると、肝心の賀夫妻の姿が見あたりません。弟さんに聞いてみると、ゲンワンが招賢の病院に入院したというのです。つい最近見かけたばかりですが、私と同年という年寄りの上、ここのところ急に寒くなりました。スワ一大事かと病院に駆けつけたのですが、幸いというか、右すねの骨折ということでした。しかし、かなりの重症で、いつ退院できるかはわからないそうです。

これは後でオクサンに聞いてわかったことですが、原因は打架(ダージャー)、つまり殴り合いの喧嘩だったそうです。てっきり崖っぷちから転げ落ちたか何かにつまずいたか、と、なにしろ65歳ですから、思っていたのですが、些細なことから、25歳の若者と渡り合ってやられたというのです。

その喧嘩の原因までは教えてくれませんでしたが、こんな小さな村の顔見知り同士の25歳が、65歳の老人を、入院するほどまでに殴り倒すとは、ちょっと日本では考えられないですが、こっちでは、考えられますね。とにかく真剣に、どちらかが死ぬまで、くらいに徹底的にやります。私も実際に何度か見ていますが、武家社会の果し合いか、はたまたギャラリー付きの格闘技かというくらい派手です。

で、今日、ちょうど市の日で買い物もあり、なつめを連れてあらためてお見舞いに出かけました。ゲンワンはほんとうになつめがお気に入りなのです。

ここは、招賢鎮で一番大きくて設備もある病院ですが、病室というのは、平屋のバラックのような建物が一棟あるだけで、私はもちろん、窓の外からワンワンと、なつめにお見舞いさせるつもりでした。ところがなつめに気づいたゲンワンは、中に入って来いというのです。病室といっても、パイプ式のベッドが4つ並んでいるだけで、その他に何かそれらしき設備があるわけではなく、簡易宿泊所のようなものですが、それでもいちおう病室、躊躇しているとかまわない、かまわないということで、なつめを抱いて中に入りました。

入院しているのはどうやら外科の患者のようですが、ちょうど賀家湾の顔見知りが見舞いに来ていて、さっそくタバコを勧められ、え〜っ、いいの?と聞く必要もなさそうで一服。隣のベッドでは、2人のばあちゃんがひとつのベッドに折り重なるようになって点滴中。ゲンワンがなつめをベッドに乗せてくれというので、頭の所に乗せて顔をペロペロで、もう、いったいこれが病院かっ?と、あきれると同時に、私がもしもバイクで事故ったりしたら、こんなところで入院生活を送るのかと思ったら、ますますバイクに乗るのがめんどうになりました。

で、トンマな私は、せっかくポケカメを持って行ったのに、電池切れで写真はありません。いずれ機会があればご紹介します。

(11月23日)