たかが犬のことだけど

毎年同じことを書いていると思うのですが、今の時期、山の畑を一巡りすると、収穫物がどっさりともらえます。ひとりでは食べきれないのでほとんど断るのですが、それでも無理やり“押し付けられる”ことが多く、それ以上断るのはかえって悪いので、もらって帰ります。

今日は大根と白菜。きのうはにんじん。おとといは葱をたくさんもらいました。じゃがいもとカボチャとさつまいもは小山のように積んであります。こちらの人は、とにかく大きく育てるのを良しとしているので、この写真の大根でも計ってみたら50センチありました。切り干し大根にしましょう。

地面に穴を掘ってだいぶん埋めたのですが、掘り出すのがめんどうなので、半分くらいは部屋の中にころがしてあります。それでネズミにやられないかと思うのですが、そういうものって食べないですね。奴らが狙っているのは、もっぱら穀類で、米、小麦粉というのは即やられます。前に住んでいたところでは、なんと、戸棚の背中のベニヤ板を食い破って、米がやられました。

そういえば最近奴らの姿を見ません。とりあえずは私の作戦が功を奏したのです。以前は穴を石と土で塞いでいたのですが、塞いでも塞いでもすぐ別のところから出てきます。黄土は柔らかいからいくらでも容易に進路変更ができるのです。それで埒があかないので、穴の周りに殺鼠剤を置いて、その上から重い甕をひっくり返して被せるという方法を考え付いたのです。これならば、奴らは巣穴の中で死んでくれます。なつめも安全だし、毒入りネズミが外をうろつくこともありません。中国の殺鼠剤は即死するほど強力なので、他に出口を掘って外へ出るということは考えずらいです。この殺鼠剤がなくならなくなったので、とりあえず、この地下通路を使っていたネズミ群は一掃されたのではないでしょうか?

しかし、この殺鼠剤にはほんとうに注意しなければなりません。しばらく前、招賢に下りるいつもの道の真ん中で、犬が寝ているのを発見しました。このすぐ上のヤオトンで飼われている犬です。ところが近づいてみると、彼は眠っているのではなく、すでに死んでいたのです。うっすらと目を開けて、安らかな死に顔ではありました。

通りがかったおっさんが、どっかで殺鼠剤にやられたんだろうといっていました。怪我もなく、病気のような感じもまったくみられなかったので、おっさんのいうことが正解でしょう。この地では、猫はもちろん犬もどこでも放し飼いなので、人間がきちんと管理してあげないと、こういう事故はたびたび起こります。

体がまだ柔らかかったので、つい数分、数十分前までは生きて、わんわん吠えていたはずでした。なつめを連れて行くと、ものすごい勢いで飛んでくることもありました(オスだった)。たかが犬の死ではあれ、現代の日本ではほぼあり得ない死が、ここでは日常です。例によって、動物の死にはすこぶる敏感な私は、しばらくそこを立ち去ることができませんでした。

(11月9日)