ある日の帰り道

しばらく前に離石に行った帰り道のことです。途中に大きな採石場があるのですが、その近くでバスが停まりました。さて、工事か?事故か?土砂崩れか?前方は巨大なトラック群で塞がれているため、状況はわかりません。このあたりには炭鉱もあるので、トラックが多いところですが、このトラックというのが、日本ではあまり見ることがないほど巨大なメガトラです。だいたいタイヤが最低でも24本くらいは付いています。まぁ帰り道だし、日は長いし、漫然と待つのみです。

しかし、ぜんぜん動きがないのでよくよく覗き込んでみると、前方200メートルくらいのところに、クレーン車の巨大なアームが見えました。フト福島原発のピンポイント放水車のことを想像してしまったのですが、これはただ事ではないと思ってバスを下り、現場に駆けつけてみました。

それがこの写真。これまでもたびたび事故は見てきましたが、これだけ派手にグッチャンコになったのは初めてです。すれ違いに失敗してこの谷底に落ちたのは、3日前だったそうです。双方から来たトラックの運ちゃんと撤去作業の関係者と警察と、そして私たちのバスの乗客とで、わいわいがやがやぼそぼそがちゃんぐぉーーん!とまぁ、いっちゃ悪いけど野次馬根性を堪能しました。

日本ならば、こんな大事故でなくとも、すぐさま阻止線が張られて、一般の人が近くまで立ち入ることはできません。それはもちろん危険だからです。ところがこっちはそういうことがないんですねぇ。私なんか、野次馬中のたったひとりの女でしかも高齢者が、瓦礫の山を乗り越え、人ごみを掻き分け、あっち行ったりこっち行ったりしてパチパチやってるのに、だ〜れも何ともいわず、「ホラホラこっちからも撮れよ」と応援してくれる始末です。

何ていったらいいんでしょう。良くも悪くもソフィスケイトされていないんですね、人間が。誤解を恐れず、私の感触をショージキッにいうならば、「人の命の2つや3つ‥‥‥‥」。

で、命の方も“したたか”で、この運転手、たいした怪我じゃなかったそうです。

(7月6日)