野ウサギあわれ

(私にとっては)朝の小戦争の水汲みが終わって、ほっと一服つけたところに、じいちゃんがニコニコしながらやって来ました。よく見ると、手に野ウサギをぶら下げています。

「どこで捕まえたの?」
「あっちの山」
「どうやって?」
「石ぶつけた」
「どうするの?」
「食べる」

といいながら去ってゆきました。なつめを散歩に連れてゆくと、ときどき耕作放棄された山地から野ウサギが飛び出してゆくのを見かけます。“脱兎のごとく”とはよくいったもので、ほんとうに、ものすごーーく速いです。もちろんなつめもまったく追いつけません。じいちゃんの石なんかに中るわけないので、きっと巣穴を見つけて、棒でも突っ込んで追い出したに違いありません。

このあたりにイノシシ、熊、シカ等はいないので、食べられる唯一の野生動物です。しかし彼らは犬も食べます。もちろん普通は食べないのでごくごく一部の人たちですが。だから、なつめがしばらく見当たらないと、心配で探し回ります。まったく油断もスキもないからです。(オット、これは半分冗談で、この村の人はみな私が飼っていることを知っているので、そんなことはしません)。

(7月8日)