好転のきざし

良くないことも、そろそろ出尽くしたのでしょうか、好転のきざしが見えてきました。

まず、天井の壁が落ちたのです。最初の破片が落ちてから3日目の昼11時頃に、ドドッ!と中音響と共に崩落しました。真夜中だったら、私もなつめもびっくりして飛び起きなければならなかったけど、真昼間でよかったです。早晩落ちるものだから、早くかたづいた方がヤキモキしなくていいです。ただ、問題はこれからで、周りから順番に崩落が始って、やがて危険で住めなくなります。あとどのくらいもつのかは、もちろん私にもわかりません。

3日ほど前から、ネズミの声が聞こえなくなったのです。なつめも夜中にウロウロしなくなったし、とりあえずはどこかへ行ったようです。でもこれはどこかで復讐の牙を研いでいる最中かもしれないので、予断は許しません。

丹精を込めていた庭のコスモスは、帰国している間に半分は枯死、残りの半分は緑を取り戻したのですが、もともと養分が少ない土だったので、背高のっぽのヒョロヒョロ。果たして花が咲くのだろうかと心配していたのですが、小さな蕾をつけているのを発見しました。どんな色の花が咲くのか、とても楽しみです。

招賢の八百屋で、珍しくというか、この地では初めて見たのですが、新生姜を売っていました。こちらではどうやって食べるのかとおばちゃんに聞いてみると、食べたことはないという答え。四川人が食べるから仕入れたというのです。招賢の町には2つの炭鉱があり、この八百屋はちょうど両炭鉱の中間に位置するので、炭鉱労働者相手の商いの量も多く、儲かっていると思います。四川省からやって来る彼らはほとんどが家族同伴でやって来て、毎日それだけが楽しみの如く、肉も野菜も山のように料理して、酒と一緒に胃袋に収めるのです。招賢は、実は炭鉱労働者で潤っている町なのです。

話が飛びましたが、私はこの新生姜を買い、幸い酢も入手できたので、つまり、こちらで使う酢は黒酢で、白酢(日本で使う普通のもの)を見つけるのはなかなか難しいのです。それで甘酢付けをコーヒーの瓶にいっぱい作りました。これでおいしい米があればいうことないんですけどね。

天候の方は相変わらず不順で、晴れた日が少なく、雷雨がぱらっと来たり、曇り空の一日が多いです。しかしおかげで、共同水道の水もフツーにジャーッ!と出るようになりました。その上、この間の雨で、村人もみな水を溜め込んでいるので行列ができるようなこともなく、現在私の2つの甕と2つのバケツも満水状態です。

それで、今日は久しぶりになつめを洗ってやりました。なつめは洗濯も散毛もぜんぜん嫌がりません。それで、体を洗った後だけは、完全に乾くまでカンの上に上げてやるのですが、体が乾いてからもぜんぜん下りようとしません。もともと自分の居場所はここだみたいな顔して、ずっと私のふとんにもたれてくつろぎっぱなしでした。

昨日から賀家湾小学校でも新学期が始りました。私が日本に戻る前、生徒は2人しかいなくて、9月の新年度にはおそらく学校はなくなるだろうとみなが考えていたのですが、今日の午後、薛先生に聞いてみると、なんと5人に増えたそうです。近隣の村々で続々廃校が続いている中で、これはちょっと意外な“いいニュース”でした。写真は期末試験のとき。右側の女の子が最後に残ったうちのひとりで、もうひとりは薛先生の息子。左側のふたりはまだ生徒ではありませんが、いつも教室で遊んでいます。

問題は「スズメバチ」です。下のコメント欄を見て、さっそく今日の夕方、村人のバクチ場、いえ溜まり場の樹の下に行って、デジカメのモニターを見せて聞いてみたのですが、案の定、これがもう徹底的にいい加減なのです。
「没事!」(メイシー=なんでもない)、「不怕!」(プーパー=だいじょうぶ)とはいうけれど、じゃあ界隈には多いのかと聞いても、「あまり多くない」「初めて見た」といった始末で、けっきょく村の知識人、高大夫(ダイフ=医者)のところに行って聞いてみると、どうやら、「命にかかわることはないけれど、撤去した方がいい」らしいのです。

しかし、この蜂は私が戻ってからかれこれ1ヵ月、ほとんど毎日のように1メートルくらいに近づいて写真を撮ってるし、フラッシュも焚いてるけど、一度も攻撃してくるようなことはなかったので、よほどおとなしい種類のスズメバチなんでしょうね。すこしずつ巣が大きくなってゆくのを見るのが楽しみだし、冬になって空き家になったら、この巣を焼酎に漬けて“栄養ドリンク”を作ろうと思っているのです。だから、できればこの先も共生したいので、撤去はもうしばらく情報を集めてからにします。なつめにも、注意するようによくいっておきました。

暗いところにあるのではっきり写らないのですが、これが問題のスズメ蜂。“昆虫博士”がいらっしゃったら教えてください。

(9月2日)