猛暑、酷暑などという聞きなれた言葉ではこの暑さの万分の一もお伝えできません。熱暑、激暑、烈暑‥‥爆暑‥‥火暑、炎暑‥‥?
若くて体力のある人なら、この炎暑の中でも上半身裸でバイク乗ったりしてますが、もうもう私は10分外にいるだけで頭がふら〜りして来て、これはヤバイぞっ!と部屋に駆け込み、カンの上でゴロゴロするのみ。なつめも10分ごとに出たり入ったりしています。
共同水道の水もとっくに使い切り、私の畑にやる水もなくなったので、やむなくチンゲンサイには最後の水をやり、翌朝すべて摘み取って食べました。こちらの人は葉モノ野菜をなぜ作らないのだろうと不思議に思っていたのですが、謎が解けました。水を必要とするからです。
私もこの地に来て5年になりますが、これほどの暑さと雨なしが続くのは初めてのことで、村人に聞いてみても、この5年間では一番だというのです。中国語では、「今年はとても旱(ハン)だ」という言い方をします。旱魃の旱です。
今のところはまだ大丈夫そうですが、それでも主食の粟や換金作物のトウモロコシなど、ほんの小さな苗のままぜんぜん成長しません。この先雨が降らなければいよいよ「旱魃」、この広大な高原のいたるところで「立ち枯れ」を見なければなりません。

そんな炎暑の中、麓から順番に棗の花が開き始め、ウチの庭に1本ある樹も花をつけ、すでに小さな実になっています。山の上の畑ではまだ開花していません。
そしてこれが紅くなり収穫を待つ頃になると、今度は秋の長雨が続くのです。それで一昨年と一昨々年は棗も全滅しました。
でも、それもこれも村人にとっては“想定内”のことであり、どの家でも2、3年分の穀物が備蓄されています。そうやって先祖代々暮らしてきたのです。
「水を管理することさえできたら」と、この国の古代の皇帝たちより連綿と続いてきた壮大な思想が、実感と共に身に染みわたる今日この頃です。

村人たちは日中の暑さを避けて、早朝と夕方畑に出ます。この2枚を撮ったのは、午後7時半過ぎです。

そういえば今日は夏至でした。一番最初の写真が午後7時半、この写真は午後8時10分撮影です。

今日のなつめ

(6月21日)