冶金屋

きのう、5週間ぶりにようやく我が家にたどりつきました。長かったです。

部屋の片付けも一段落し、昼過ぎになつめの散歩に出かけたところ、村人たちがひとかたまりになっているので、さて何だろうと覗き込んでみると、これはまた、珍しい光景を見ました。

冶金師というのでしょうか、小さなドラム缶の釜で金属を溶かして鍋や洗面器を作っているところだったのです。いかけ屋さんといって、そういったものを修理する人は見たことがあるのですが、こういう仕事を野外でやっているのは生まれて初めて見ました。

みんな自分の家から壊れた鍋やヤカンやアルミ缶などを持ってきて、それで手数料を払って作り直してもらうのです。アルミの製品が多かったのですが、洗面器を作り直してもらって、15元だそうです。

30代後半くらいの夫婦もので、河南省から来たそうです。春節が終わったところで村を出発し、2、3ヶ月は旅から旅への生活で、子どもは老人たちが世話をしているといっていました。こんな仕事をしている人はまだたくさんいるのかと聞いてみると、やはり少なくなったけれど、彼らの村にはまだ4人残っているとか。

私も何か作ってもらいたかったけど、材料もないし、みな大きなものばかりで、日本には持って帰れないし、残念です。

村にはいろいろな物売りや、こういった職人がやってきます。オート三輪で小麦粉や食用油、卵、トイレットペーパーなどの雑貨品を売りに来る人はよく見ますが、小さなカバンひとつを担いで、薬や銀製品(こちらの女性は必ず銀のブレスをしています。あと、死んだときに口の中に入れる口含銭というのも銀)やメガネなどを売りに来る人。それからいろんな修理屋さんもいます。怪しげな医療行為をしている人も見かけたことがあります。私が初めての村に取材に出かけると、よく「何売りに来たの?」と聞かれたものでした。カバン担いでいるから。

これまででいちばんビックリしたのは、なんと「抜歯屋」さん。町に行けば屋台の入れ歯屋があるのは、先回ご紹介しましたが、商売道具は、もしかして「糸」一本だけなんでしょうか?

今日のなつめ;
犬だって、やっぱりジブンの家がいいんですね、どうです、この安らかな寝顔。

(3月16日)