到太原了

太原に着きました。午後3時半に乗って7時10分到着。以前は夜行列車すらあったのに、ほんとうに信じがたい速さです。北京を出て、途中の石家庄(毒ギョウザ事件が起こったところ)や陽泉などは真っ白な雪景色だったのですが、太原はまだ降っていませんでした。予報では今夜半から降り出すのですが、11時現在、まだ降っていません。それどころか、とても暖かいのです。これじゃあ雪じゃなくて雨になるんじゃないかと思うほどに。

乗ったタクシーの運転手は、明日は90%高速道は閉鎖だけれど、12日には雪が止むので、いっせいに融雪剤をまいて、開通させるだろうというのです。確かにこれだけ暖かければ、降った雪もじきに溶けるだろうと思われます。なかなか自信のこもった口振りでした。

ひとみしりの強い私ですが(信じない人が多いですね、でもほんとうです)、タクシードライバーにだけは積極的に話しかけるようにしています。彼らは情報通だし、どうせ一度限りの出会いだから、何でもあけっぴろげに話してくれる人が多いのです。で、今日わかったことは、太原界隈では、一般的にタクシードライバーというのは、車をレンタルして仕事をするのだそうです。つまり、1日あたり180元(1元≒13円)で車を借り、ガソリン代と修理代などは自分持ちで、タクシー料金は全部自分のところに入るというシステムです。その貸元の親分は車を数百台所有していて、太原にレストランと修理工場を持ち、北京にもホテルを持っている大金持ちだそうです。

山西省は特に貧富の格差が激しいところだと彼もいっていましたが、確かに、石炭産業で儲けている人などはとてつもない金持ちで、PURADOやPAJEROを乗りまわし、私が日ごろ接している老人たちは、1元のバス代も惜しむほどにビンボーです。彼は1日に14時間ほど働くそうで、いくらの収入になるかまでは聞きませんでしたが、子供の教育費がたいへんだとぼやいていました。あと、大都市ではお客さんは遠ければ遠いほど儲かるけれど、太原では近ければ近いほどありがたいというのです。町がそれほど大きくないので、遠くまで行ってしまうと帰りの客が拾えないからです。私は太原駅で他の客が降りたところに乗り込んで、西客駅まで行き、離石行きのバスがすでにないことを確認してからまた駅の近くのホテルまで戻り、続けてホテルから出た客が乗ったので、最上の客だったと思います。ちなみに4、50分乗って、いろんな話も聞かせてもらって29元で、1元だけチップを渡しました。

ということで、明日にならないと状況はわかりません。でも北京から太原まで来たのでなんとなくホッとしています。なぜでしょう?太原だって立派な大都会ですが、なんとなく人心が素朴で、北京のようにあくせくしていなくて、“なるようになる感”があちこちにじみ出ていて、きのうまでは、春節までに村に帰れなかったらどうしようと焦っていたのですが、ここに来て、天候の問題なんだからあくせくせずに、なんとかなる、いやこの際、太原のホテルでのんびりしようかと、すこぶるおおらかな気持ちになってしまい、近くのスーパーで紹興酒を買って、ひとりチビチビやっているのです。写真はホテルの部屋から見た町の様子。みなノーマルタイヤで走っているのが不思議です。

(2月9日)