羊の食べ残し

さていよいよ火入れです。まずは新聞紙を1枚の半分に破って入れ、その上に豆殻を詰めました。ある程度の時間燃えてくれないと石炭に火が移らないので、かなりギューギューに詰め、ライターで新聞紙に点火。確実に火が点いたことを確認してから蓋をしてしばらく待ち、豆殻がゴーゴー燃え出したらそこに石炭を放り込む予定なのですが、どうしたことか、蓋と本体の隙間から真っ白な煙がモクモクと立ち上ってきて、あっという間に部屋中に充満してしまいました。先回は土埃で鼻と喉がやられたのですが、今回は目が痛くてあいていられないほどです。これはたまらんとやっぱり外に飛び出しました。

このストーブはどういう構造になっているかというと、カンの横に付いているカマドとまったく同じ構造になっていて、燃料を入れるのは上からです。横からマキをくべる、といった日本式のカマドとは違います。ストーブの胴体の上半分くらいに土を厚く塗りこめてすり鉢状のカマを作り、そこで燃料を燃やします。本来これはストーブを買った人がやるのですが、今回は店の老板に頼んでそこまでやってから持ってきてもらったのですが、それがまだよく乾いていなかったのです。幸いこれは1回だけでおさまりました。

次にまた問題があって、豆殻だけでは石炭に火が移らないのです。3種類あったうちの一番小さいのを買ったためにカマが小さくて、豆殻があまり入らないからです。やはり柴を入れないと難しいようで、前の大家さんのところにもらいに行きました。以前にも書いたように、ここでは羊に食べさせるために大量の木の枝が伐採され、その残骸が今もうず高く積み上げられているからです。なんのことはない、かつて緑の破壊を嘆いた私が、その羊たちの食べ残しのお世話にならないと火も起こせなかったわけです。

しかしともかく、柴を入れたらようやく石炭に火が点きました。后ヤオにころがっていた直径36cmの鉄鍋もかけました。これからは常にお湯があるという“文化的な生活”ができるわけです。

今日は予報が少しはずれて、一日中雨は降りませんでしたが、この空模様では明日は間違いなく雪でしょう。鉛色の空に突き出た煙突から立ち上る煙を見ながら、「地球温暖化問題を下々にまで貫徹させるのは至難の業だなぁ」と思いつつも、「これでようやく人なみ、イヤ村人なみの冬が迎えられるなぁ」と、ほっと胸をなで下ろした私なのでした。

(11月9日)

11日午後1時現在積雪7cm、こちらに来て以来これだけ激しく降る雪は初めてです。写真はウチの納屋。ものすごく立派な梁が入っているので、これもおそらく清朝に建てられたものではないかと思います。
室温16℃、快適です。今はただただ、停電にならないことを祈るばかり。

今日のなつめ。

(11月11日)