家捜し

なぜまた同じ村の中で引っ越すことになったかというと、こういう顛末があったのです。

まず第一に、今いる部屋は天井や壁から常時土の剥落があって、それをよけるためにビニールシートが4枚吊り下げてあるのですが、それでも隙間からぱらぱらこぼれてきていて、カンの隅っこはすぐにゴミと土だらけになります。そのうちにドッ!と天井が抜け落ちるんじゃないかという不安も少しあります。町から来た中国人が、「よくこんなところに住んでるね」とあきれるような部屋なのです。

そしてこの5月にはヤギがやって来て、臭いのはがまんできるにしても、ハエのものすごさには辟易としています。ヤオトンは通風が悪いので、天気のいい日は扉を開け放しておきたいのですが、それができません。その上、どうやら大家さんは本格的に養ヤギを始めるつもりのようで、小雨降る中、畑を潰してヤギ小屋を拡張し出しました。

谷筋にあるので、ネットの繋がりが悪く、バイクもここまで下ろすことはできません。

第一の理由だけですでに引っ越したかったのですが、大家さんは私が払う月々の家賃と、彼らが使う分の電気代(メーターがひとつだから)をアテにしていることがわかっているので、なかなか言い出せなかったのです。そしてもっと大事なことは、私がいない間、彼らがなつめの面倒を見てくれていたということがあります。

ところがつい先日、突然「1日2日のことならいいけど、それ以上は面倒を見れない」といい出したのです。きっとヤギの世話で大変なんだろうと思います。それになつめは侵入者に対しては激しく吠え立てるので(自分が外に出たときは吠えない)、それもちょっと困っていたのかもしれません。なにしろ大家さんの部屋は“賭場”になっていて、次から次へと見知らぬ男たちが出入りするのです。

私はチャンスとばかりに、すぐに部屋を探しました。なつめは吠えるだけでなく、噛み付いたことも2回あるので、もう今度はひとり暮らしを条件に探しました。そして私がいない間は、お金を払って誰かに面倒を見てもらうことにしたのです。

今いるところからすぐ上にひとり暮らしのばあちゃんがいたのですが、最近転んで足の骨を折って以降、息子のところで暮らしているという情報を得ました。以前取材したことがあるばあちゃんです。少し離れたところにある息子の家を訪ねて意を伝えると、「あぁ、写真撮ってくれた人だよねぇ、いつでも住んでちょうだい」と快諾を得られ、やっぱり写真のおかげだなぁと、自分で自分に感謝しました。

ところで、私は16日から10月の初めまで、ウチの学校の生徒たちが20人ほどやって来るので、瀋陽の方に出かけます。なつめは磧口の友達が預かってくれることになりました。それで、その前に引越しを済ませたいと思っているのですが、実はその前にしなければならないことがひとつあるのです。(つづく)

(9月6日)