『記憶にであう』

実は日本に帰っていたのです。
当初、出版に関してはネットを使って連絡し合えばそれですむと安易に考えていたのですが、なかなかそういうわけにもゆかず、2週間ほど帰国していました。
なにしろ特殊な地名・人名が多く、それらにすべてルビをつけなければならないし、写真も100枚以上あり、その上、ネットが繋がらないという状況でもう埒がゆかなくなっていたのです。いろいろたいへんでしたが、とにかくさきほど北京に戻り、いま定宿のYHで、ランを借りて繋いでいます。

タイトルは、『記憶にであう』です。なかなかいいでしょう。当初は単純に『紅棗がみのる村から』でいいかなと思っていました。もう身体になじんでいるし、私自身それほどこだわりはありませんでした。ところが、これだと「紅棗」が検索にひっかからないと出版社から指摘され、それでサブタイトルに持ってくることにしたのですが、本タイトルがなかなか決まりませんでした。私は、タイトルには「戦争」「証言」ましてや「三光作戦」を使うことは考えておらず、キーワードは唯一「記憶」でした。「記憶」というキーワードはかつて流行したけれど、いまはもう。。。という意見もありましたが、私にとって、流行は関係ありません。

で、先週東大の高橋哲哉先生の研究室を、出版社の人たち等でお訪ねして(出版社の社長と高橋先生が学生時代の友人)、「何かいいのつけてくれないかなぁ」と私は内心期待していたのですが、先生に「記憶に動きをつけて、『記憶にであう』というのはどうでしょう?」といわれて、もう即決しました。ものすごく気に入ってます。

5月20日頃出版される予定です。未来社刊 定価1500円

本のことはあらためて書きますが、話はぜんぜん飛んで;

中国にいると“ぶったまげる”ことに出会うのは日常茶飯事なのですが、ほんの数時間前北京に到着して、相変わらず“ぶったまげ”ました。
毎回、日本→北京(北京→日本)はあっという間に飛んでくるのですが、ここから黄土高原の我が家に帰るのは、なかなかたいへんなことなのです。このコースは私は常に、重くて貴重品のつまったスーツケースを引っぱっているので余計に。一番大変なのが、北京→太原で、列車だと8時間くらい、バスだと、場合によっては10時間以上かかったりします。つまり、太原で一泊はしなければならないのです。

今回日本に行くときは、太原の友人に頼んで太原→北京の切符を買ってもらいました。中国では、基本的には発駅でしか切符を購入することはできません。その列車に乗ってお疲れで北京に着き、北京に1泊して後成田に向かったわけですが、今日、北京に戻って駅に行ってみると(YHは北京駅のまん前にある)、なんと、北京と太原の間に新しい特急列車が開通したと書いてあるのです。4月1日に開通したようです。さっそく時刻表を買って見てみると、え〜〜っ!うっそぉ〜〜!

北京西→太原という列車が1日14往復。これまでは、1日に昼と夜行と2本しかなかったのにです。所要時間2時間59分。これまでは8時間以上かかっていたのにです。

日本だったら、8時間のものが6時間半くらいになったといって、地方自治体が大喜びするというのがフツーですが、中国では、なにかとスケールが違うのです。

私はあすこれに乗って賀家湾に帰ります。残念ながら午前中の切符は売り切れていたので、もしかしたら明日の夜は離石泊まりかもしれませんが、とにかくどんな列車なのか、またつぶさに観察してお知らせします。(ネットが繋がればいいですね)