紅!紅!紅!

「紅」は、「あか」と読んでください。中国語では赤い色を表すのは「紅」で、「赤」という字は使いません。で、5日に臨県に行ったのですが、もう街中がまっかっかでした。とにかく紅でなければ色でないとでもいうくらい紅のオンパレードで、もうほとんど眩暈がしそうでした。

臨県に着いて、いつも泊まっている工会賓館に向かうと、賑やかな音楽が聞こえてきて、「秧歌隊」がやって来ているのがすぐにわかりました。賓館の前は黒山の人だかりで、ちょうど「唱秧歌」をやりはじめたところです。

この人が「傘頭」といって、祝い歌を歌います。民謡のような感じではなく、万歳のように語り口調です。「工会賓館が今年も商売繁盛で、従業員も客も健康で平安な日々を‥‥」といったような歌です。傘頭は昔は2人と決まっていたそうですが、最近は4人くらいいるようです。

だいたい2,30分くらい歌って、テーブルの上に置いてあるご祝儀を受け取ります。タバコとか飴の袋で、お金は渡さないみたいです。こちらではとにかく、タバコというのは現金の代わりでもあるのです。

この秧歌隊を先導する大型トラックには、こんな看板がついていました。こんな感じの看板は、私がこちらに来て以来、ちょっとした町のイベントに行くとよく見かけます。トラックの荷台には楽隊が乗っています。
『新農村建設 飛速発展』−「飛速」は、いうまでもなく、飛ぶように速く、です。

秧歌隊というのは、だいたいどの村にもあって、賀家湾のは、下の写真のとおり、ごくごく質素なものですが、田舎でもとても立派な秧歌隊を持っているところもあります。炭鉱があってお金があったり、個人でも大成功してパトロンになってお金を出す人がいるからです。今回見たのは、臨泉鎮勝利坪村の秧歌隊で、総勢400人はいたと思います。勝利坪村というのは臨県のすぐ近くの村で、こうやって自分の村の外へやってきて活動することもあります。(まぎらわしいですが、臨県の行政所在地の臨県の住所は、臨県臨泉鎮臨県となります)。どこそこの村の秧歌隊はすばらしいから、呼んで祝い歌を歌ってもらおうということにもなるわけです。先頭で幟や横断幕を掲げて団結門をくぐるのは村の中学生。まだ春節休暇中です。

次が太鼓隊。大太鼓とその後ろに腰鼓(ヤオグー)といって、腰に縛って打つ小さな太鼓を持った男性が50人くらいいたのですが、この腰鼓というのは、陝西省が本場で、今回見たのは、ただ単に打ちながら歩いているだけでした。本場の腰鼓は、黄砂の大地をまるで空を飛ぶように駆けながら打ち鳴らすまったく勇壮果敢なものです。私は4年前にわざわざ安寨という町まで見に行きました。安寨は、安眠亭さんのフィールドの楊家溝の近くです。楊家溝にもきっと立派な腰鼓隊があるのではないでしょうか?

次につくのがメインともなる秧歌踊隊。扇子を持ったり、腰に巻いた布を両手に持って、それを振りながら踊ります。ほとんどが女性です。

秧歌踊隊の後ろに、道化とか、ロバに乗った娘さんとか、船に乗った女性とか、三国志西遊記のモデルなどがつきます。

最後尾に獅子舞がつきます。ときには獅子舞だけ独立して街を練り歩いて、ときどき芸を披露したりします。なかなかアクロバティックで、かなり鍛錬を積んでいると思われます。中に入っていたのは、みな若い男性でした。獅子のたてがみも紅一色です。

秧歌隊が出るのは、普通は春節から5日目の初五〜15日目の初十五までです。15日(新暦2月9日)というのは、元宵節といって、この日で春節が終わります。学校が始まるのも翌日からです。つまりあさってということですが、元気があったら離石まで見に行こうかと思っています。近隣の村々から、たくさんの秧歌隊が大集合して、それはそれは賑やかなお祭りになるからです。村の人もそれを見に出て行ってしまうので、この村では何もないそうですから。

(2月7日)