新年好!

村はいまお正月真っ盛りで、村の人口が急に増え、ふだんは見たことがない若い人たちや、子連れのお母さんたちが着飾ってあっちへうろうろこっちへぶらぶらと賑やかです。子どもたちは「圧歳銭」というお年玉をもらい、これまたおニューの服で着飾って、いつもよりはすまし顔で歩いています。狭い村で、他に何もないのだから、ただあちこちの家を訪問しあっておしゃべりしたり、男たちはバクチに精を出したり、でも、老人たちはいつもと同じように日向ぼっこです。

私は21日に帰ったのですが、例のバスの中で風邪を引きなおし、1ヶ月あけていた部屋の中は3℃という冷凍室で、おまけにちょうど寒気団が来ていたようで、外は氷点下の風がびゅーびゅー。春節の様子をカメラに収めようと意気込んでいたのですが、なんのことはない25日の「過年」26日の「春節」は、部屋の中でじっとしていたのです。

そして今日、ようやく寒気団も去ったようで、風もなく暖かい小春日和になり、風邪も治ったようだし、さぁいよいよ“傑作”をと外に出て、10枚ほど撮ったところで、なんとっ!シャッターがうんともすんとも反応しなくなったのです。「我的天!」まったく、いったいぜんたいなんて私は不運に付きまとわれているのでしょう?おまけに、今回日本で、私は思い切って広角レンズを買ったのです。黄土高原の壮大な風景を切り取るにはどうしたって広角が欲しかったし、今度出る本の表紙には、あのウン千年前から人類がたゆむことなく鍬をふるい、何世代もかけて彫り上げた大地の彫刻作品のような段々畑の写真を、何が何でも使いたいと思っていたのです。

よくよく調べてみると、他の機能は稼動しているし、たまーにシャッターが押せることもあります。シャッターの部分に砂埃でも入って接触不良になっているのでしょう。修理にはおそらく北京まで行かなければならないし、しかもその場で直るわけではないだろうし、もう目の前が真っ暗です。が、まぁ絶望していても仕方ないし、ポケットカメラもあるので、表紙はそれで。。。どうせオートで撮ってるんだからあんまり変わらないかも、と気合を入れなおしているところです。

部屋の中は、帰ってからずっと電気ストーブをつけっぱなしにしているので、3日目にようやく5℃まであがり、きのうは8℃になりました。これなら人間は生きられます。何から何まで土でできてるので、暖めるのにほんとうに時間がかかるのです。灯油ストーブがあるといいなぁと思うのですが、こちらでは見たことはないし、まず灯油というものが買えません。もしも、来年の冬もこの地で生活するのなら、だるまストーブというのを買おうと思っているのですが、なんだか、それを買うような気がしています。かまどで石炭を焚きたくないのは、部屋中煤だらけになって、鼻炎がつらいのと、パソコンなどの機器に悪いからと、しょっちゅう部屋を空けるので、種火の面倒を見るのが難しいという理由です。

で、写真はその10枚のうちの3枚ですが、すべての家がこんなにきれいに飾るわけではありません。普通は、紅い「対聨」(門の両側と上の3ヵ所)だけです。それを、門と各部屋の扉のところに貼り、他にも物置の入り口やら神棚やら、つまり、日本であちこちに小さな注連縄を飾るのと同じような感じに貼ります。上の写真の少年は、ふだんは町の学校で寄宿舎生活です。村には小学校しかなく、中学校(中国では中高一貫)に進学すると、臨県か離石まで行くのでみな寮生活になります。

これはドメスティックな写真ですが、私の部屋。いろいろ着込んでいるのがおわかりになると思います。

最後の1枚がこれで、真ん中のじいちゃんのピントが合ってないので撮りなおそうとしたらアウトになりました。私よりじいちゃんの方が悔しがっていたみたいですが。。。

(1月27日)