月を愛で、銀河を仰いで‥‥

タイトルは優雅ですが、トイレの話です。トイレのことは中国語で「厠所」といいます。でもこれは日本でいえば、「便所」といった感じで、トイレだと、「洗手間」ということが多いようです。公衆トイレやホテルのトイレなどは「洗手間」とか「WC」とか書いてあります。南の方に行けば違うかもしれません。もちろんこの界隈で「洗手間はどこですか?」なんて聞いても絶対に通じません。

厠所は庭の中にあるのと外にあるのと半々くらいでしょうか。地面に穴を掘って甕を埋め込んで足場を渡し、まわりを土やレンガや石の壁で隠します。畑の肥やしに使うので、地下浸透というのはありません。壁はだいたい胸の高さくらいなので、立ち上がると外からよく見えます。普通は屋根や扉はありません。だから、雨が降ると傘がいります。

これがウチの厠所で、庭の外にあります。最もフツーの形と大きさです。左側が家の壁で、右側は崖になっています。

これもごく一般的な形で、門の左側にあるのが厠所です。日本でもかつては同じようなものだったと思うのですが、門のすぐ横というのはないですよね。

これは、左右両方から入ることができ、ふたり分あります。もちろん中に仕切りがあります。

こんなのもあります。

中はこんな感じ。なぜ棒が入っているのか最初はわからなかったのですが、使っているうちに理解しました。この棒にうまく命中させないとおつりが来るということです。ときどき失敗します。板のようなものだといいのですが、板だと買わなければならないので、当然自分の家の畑から棗の枯れ枝を持ってきます。しかし、せめて樹齢十数年くらいの枯木をぶち込んでおいてくれればぐっと命中率は上がるのですが‥‥。先般日本から友人が来たとき、「自分が子供の頃は、新聞紙を1枚持って入って、それをそっと浮かせて、沈まないうちに一気に済ませた」といっていましたが、この地には新聞紙というものはありません。

しゃがむと目の前になぜかタバコの包み紙が突っ込んであります。これも最初意味がわからなかったのですが、トイレットペーパーです。大家さんはふたりともヘビースモーカーで、毎日1箱くらいずつ吸っていると思うのですが、こんな硬いのを使うのはなかなかたいへんだから、タバコを控えてトイレットペーパーを買えばいいのにといつも思います。そうです、新聞紙はありません。

とまれ、月を愛で、銀河を仰ぎ、風の歌を聞きながら日々用を足すというのはなかなか風流ですが、なつめがなぜか厠所で遊ぶのが大好きで、そのままダーッと私に飛びついてきて、グリグリ身体をこすり付けてくるのがやや難点ではあります。

(12月11日)