広州恩寧路

無事広州に入りました。この間さまざまな不安に足を引っ張られていたのですが、ようやくホッと一息です。香港に引き続いてこちらも雨模様ですが、せっかくなので、ちょっとブラブラしてみることにしました。というのも、到着してすぐに地下鉄に乗ったのですが、駅の表示板を見ていたら、老人割引、障がい者割引、団体割引等々、ずいぶんいろんなサービスがあり、その中に1日乗車券と3日乗車券というのがあったので、1日乗車券を購入したのです。20元でしたが、ありがたいことに、最初にカードを通してから24時間、つまり翌日も有効です。

こういうものを買うと、だいたいの人は、早く元を取ろうと考えて、なるべく遠くまで行きたくなるものですが、私はまず余裕を持って、購入した駅のひとつ隣の「長寿路」まで行ってみることにしました。安い商品を扱っている有名な商店街があると聞いたので、買うつもりはないけれど、街の様子を見てみようと考えたからです。

それがもう、予想をはるかに超えた、年末のアメ横(行ったことないけど)の道幅を3倍にしたくらいの混雑ぶりで、歩行者道路中に人があふれかえり、まっすぐ歩くことなどとても無理で、おまけにあっちの店でもこっちの店でも、すさまじい大音響で呼び込みをしていて、私はほうほうのていで逃げ出しました。考えてみれば、私が行った日は、ちょうど清明節の3連休の中日にあたっていたのです。

ところが、雑踏を潜り抜けて一度二度小路を曲がり、裏道に入ってゆくと、アッと息をのむようなたたずまいが広がっていたのです。すでに朽ち果てて、人が住むには十分に危険なはずですが、洗濯物が下がっているところをみると、きっと誰かが生活しているのでしょう。通りがかった人に聞いてみると、そのあたりは取り壊しが進んでいるということでした。






どことなくなつかしい風景も。今の季節でも緑が茂っていて、南国だなと思わされます。





表通りにまで廻ってみると、こんな商店街が続いていました。ネットで調べてみると、ここは恩寧路といって、清朝時代には、広州最大の商業地区、物の集散拠点だったようで、富裕な商人達の店舗住居が軒を連ねていたようです。

こんな美容院もありました。

足のマッサージをしてくれる店。店主とおぼしき男性がせっせと扉を磨いていましたが、この扉は100年ほど前のものだと自慢げでした。



いたるところ洗濯物のおなじみの風景です。実際私もホテルの部屋に干しておいて、まったく乾かないのに驚きました。公園の入り口の標識にも、「洗濯物干し禁止」などというのがあって、ところ変われば、変わるものですね。

カメラをぶら下げていたからでしょう、途中で若い女性からアンケートを依頼されました。中山大学の観光科の学生で、この地域を観光の対象として保存することを研究しているそうです。何年かあとにやって来れば、あの取り壊された川沿いの地域に、立派な公園が整備されているかもしれません。あそこに住んでいた人たちはどこへ行ったのでしょう?観光振興政策が、街の人たちの暮らしとうまく共存してゆけるといいですね。