太行山脈

いい写真を撮ってやろうと、身構えているとやっぱりダメですね。その後、曇りの日があり、晴れれば晴れたで、頭の真上は青いのに、前方は360度どこを見ても煙ってしまって、けっきょく14日が一番クリアに晴れたようです。昨日は三脚を担いで登ってみたのですが、あまりの寒さにプラスチックの停め具の部分が壊れてしまい、またすでに雪が溶けかけてきて、微妙にコントラストが緩んできました。

今日もこんな感じです。ウチの前から撮った賀家湾村。この写真のちょうど中央あたりが招賢です。そしてその左上の山の上に2本の塔が建っていますが、右が聨通、左が移動の通信塔です。つまり、私の部屋からこの聨通が見える(実際には納屋の陰になって見えないのですが)位置にあるので、無線ネットカードが使えて、こうやってブログもアップできるわけです。最初にこの村に来たときはネットは使えなかったので、この2年の間に建てられたもののはずです。近隣の村々でも地理条件によっては繋がりませんが、賀家湾は、偶然、ネット環境が整っているということになります。

私のヤオトンは、ちょうど村の東はずれにあり、真裏の山の上に小さな廟があります。足跡がひとつもなかったので、誰もおまいりしてないということですね。春節のときにはみんな一度はやってくるみたいですが、いずれにしろ宗教儀式というのはほとんど見たことがないです。もちろん、婚礼・葬儀に付随する様々な儀礼はありますが。ただし、この村にはなぜか基督(キリスト)教徒が多いのです。今の大家さんとその家族もそうだし、前の前の大家さんも基督教徒でした。

ところで私は今日、すごいことを発見したのです。正確にいうと、この下の山の写真(15日アップ)を撮った日、この位置からは、360度黄土高原の段々畑が見えるのですが、北東の方角に段々畑のもうひとつ向こう側に何やらもっときり立った山塊らしいものが見えて、あれは何だろう?と思いました。これまでは気がつかなかったのですが、冠雪して稜線がきわだってきたせいで、どうも黄土高原とは違う、もっと険しく高い山脈が連なっているのではないか?方角的には「太行山脈」だけれど、まさかそんな遠くのものが見えるのだろうか?

で、今日村人に聞いてみたら、やっぱり太行山脈だというのです。太行山脈というのは、山西省の最東端(臨県は最西端)、河北省との省境にある大きな山脈で、ここはかつて日本軍と八路軍との間で熾烈な山岳戦が展開された地域です。あの「蟻の兵隊」たちが徒歩で越えてきた急峻な峠であり、また多くの日本兵が命を落としたところでもあります。まさか私が今住んでいるところからこんなに間近に見られるとは思ってもみませんでした。日本軍の銃弾痕が残るヤオトンを背に、太行山脈を遥かに望みながら氷点下20℃の冬を迎えようとしているおばばひとり‥‥う〜っぶるぶるぶるっ!身も心も引きしまります。(いえいえ、部屋の中は暖かいですよー。ストーブ買って良かった〜!)

おまけ;こ〜んなに寒いのに、やっぱりバクチやってます。

今日のなつめ。わざと寒〜いところでぶるぶる震えながら私の同情を惹こうとしているのはいつものテ。とにかく外に出て走りたいのです。絶対に自分ひとりでは行かないので面倒です。

(11月18日)