絶叫とハエと森林問題

しばらく家を空けて戻ってくると、庭の様相が一変していました。私の部屋から一番遠い位置にあったヤギ小屋が、私の部屋のすぐ隣に移動していて、それは以前よりずっと大きく頑丈な造りになっていました。あの後も何度も逃げ出したので造り直したのだそうです。

それでも、あのお母さんヤギはどうしてもなじまないので、けっきょく元の飼い主に返し、代わりに子ヤギを2頭ゆずり受けてきたそうで、全部で5頭になっていました。そしてその新しく来た子ヤギがお母さんを呼んで鳴くのです。前と反対の状況になりました。しかし、子を呼ぶ母より、母を呼ぶ子の声はもっと激しく、おなかがすいた頃になるともう絶叫!するのですが、前からいるお母さんヤギは、絶対におっぱいを飲ませてはあげません。それどころか、ときどき角で追い払ったりしているのです。日々好日さんのコメントにあったように、どうやらヤギはほんとうに意地悪な動物ですね。

しかし、絶叫もさることながら、もっと私を悩ませることがあって、ヤギって、かなり臭いのです。いえ、きっとめっちゃ臭いのです。ただし、幸か不幸か慢性鼻炎の私には、それは我慢できます。一番困っているのは、ハエがものすごいことです。ざっと見渡しただけでも部屋の中に50匹くらいは棲息しています。日暮時にはだいたい出ていきますが、中には残っているヤツがいて、それが日が昇る時刻になると活動を始めて、ブンブンウァンウァン私の顔の周りを飛び回ってうっとおしいことこの上ないのです。このままでは睡眠不足になってしまいます。

もうひとつ気になることがあって、それはこの写真です。早朝と夕方、大家さんは鎌を持ってどこぞに出かけて、このような木の枝をごっそりと持ち帰ります。いったいどこにこんなに自由に伐っていい樹木があるのか不思議ですが、毎日毎日です。山はほとんど耕作地としてハゲ山になっているわけだし、谷間もほとんど耕し尽くされ、しかも個人の所有地のものを勝手に伐るわけにもゆかないでしょう。それにもっとたくさん、何十頭と放牧している農民はたくさんいるのです。確か法的には、森林保護の名目上、この辺りでも放牧は禁止されているはずですが、農民たちにとって、ヤギは貴重な現金をもたらしてくれるので、法などおかまいなしです。ヤギを買ったら電気代も払えなくなった大家さんに森林保護を訴えることは私にもできません。この問題はほんとうに難しくて、日本のNPOの人たちにとっても最難題のひとつでしょう。元の時代に中国の森は破壊し尽くされたといいますが、さもありなんと複雑な心境の今日この頃ではあります。

おまけ;しばらく寝たきりだった近所の改改ばあちゃんが復活して、シャベルとおろし金を使って歩いていました。

(7月25日)