水汲み 飯炊き 犬の世話

賀家湾はすっかり初夏の色に染まりました。急に暑くなって、それでも室温は20℃。ですが、温度そのものはまだまだですが、日差しの強さはちょっと日本では想像できないくらいです。村人の顔がみな真っ黒けなのも納得がゆきます。麦わら帽子でも被ればと思うのですが、そういう習慣がありません。

ところで、ずーーーっと雨が降ってないのです。少なくとも私の記憶にあるのは、3月に降った1cmほど積もった雪が最後でしょうか(もっともしばらく不在でしたが)。それで農民たちはみな作付けができなくて困っているのです。夏野菜はまだ苗床にいるので、それには毎日水を運んでかけています。それから発芽したかぼちゃにはやはり水を運んでいます。でも、主食の粟や大豆、とうもろこしなどには水やりをすることなどできないので、ひたすら恵みの大雨が降るのを待っているのです。

大地はもうからからに乾いているので、ちょっと風が吹くだけで相変わらず黄砂が舞い上がります。ある日本の友人が、「龍角散の上を歩いているようだ」とまさにドンピシャの表現をしてくれたのですが、まったく、土でも埃でもなく煙です。なつめが私の前を歩くだけで煙が舞い上がってカメラに悪いので、後ろを歩けというのですが、なかなかいうことを聞いてくれません。

もうひとつの悩みは、そろそろ井戸の水が枯渇しそうなことです。いまいるところは、幸い庭に井戸が掘ってあるのですが、ここ最近は下ろした桶がすぐに底にあたって、汲み上げた水も汚いのです。ときどき虫の死骸などが混じってくるのですが、これとて貴重な水で捨てることなどできません。

それに最近私は腰痛に悩まされていて、だいたい一度に6,7杯の水を汲み上げるのですが、その後2,3日は腰が痛く、6,7日後には水がなくなって、またまた水汲みをしなければならないのです。でもまだいまは何とかあるけど、ほんとうに枯渇したら、谷の共同井戸まで汲みに行かなければなりません。

で、そういったことがたいへんだわと口にすると、待ってましたとばかりに村の大夫(医者)がやって来て、「水汲みと飯炊きと犬の世話ができるいい人がいるから紹介する」というのです。そういう話はもう何回もいわれていて、まんざら冗談でもなさそうで、うっかりしたことはいえません。まったく何考えてるんだか、早くざーっと一雨降ってほしいです。

(5月4日)