八十歳の祝い

古稀の祝いというのは特別にはないみたいですが、今日、村で八十歳の誕生日を祝って「秧歌」が行われました。もちろん主催者側がお金を出して秧歌隊を呼んだもので、下に書いた「3周年」の祝いのときと同じものです。村の真ん中くらいにちょっとした空き地があって、そこに鉄パイプとビニールシートで舞台を作り、午後1時頃から3時間ほど、「めでたいなぁ、めでたいなぁ〜」という大音響が、小春日和の紺碧の空に響き渡りました。(ちなみにこちらでは、舞台でも物売りでも人声でも、大きければ大きいほどよしとする傾向が如実にあります。日本には騒音防止条例というものがある、といっても金輪際理解されないでしょう)

何かことあるたびに、爆竹と花火に必ず火が点けられます。きっと全中国での火薬使用量というのは、気が遠くなるほど膨大なものでしょう。

今日は風もなく、ほんとうに暖かい一日でした。陽射しさえあれば、日中は外の方が暖かいです。

「秧歌隊」というのはこんな感じ。普通の服装で、なぜかフリルの付いた傘を持って歌います。ひとりか、掛け合いで、合唱というのは聞いたことはありません。

こうやってすぐに物売り三輪車がやってきます。今は、農民たちは収穫物(大豆、麻、トウモロコシなど。いつもの年なら、紅棗)を換金しているので、現金がある時期です。

舞台の裏手では、将棋とトランプの“賭場”がご開帳。といっても、彼らはだいたいバラしたタバコを1本ずつ賭けています。これからは農作業がないので、みなほんとうにヒマで、賭場が全盛になります。ウチの大家さんの部屋では、毎晩“麻雀賭博”がご開帳です。

もっとも、誰でもがこんな派手なお祝いをするかというと、そうではなくて、私も3年間で初めて見ました。この郭老人の家は村の「雑貨屋」をやっていて、比較的お金がある、というか、やはり子供たちが“大出世”したのでしょう。喜びは分かち合うという村落共同体の古きよき“伝統”、と思いたいのですが、広場には普段は見ない、ワーゲンのSANTANA車が2台、HONDA車が1台、ISUZUの軽トラックが1台停まっていたところを見ると、やはり“見栄”っぱりの種子が如何ともしがたく花開いたということでしょうか。

(11月28日)