帰村しました。




松本最後の日、しつこく花見に行ってきました。というか、歩いて学校まで行きました。この写真は、町の中央にある「あがたの森」という公園の桜ですが、すでに散りかかっていました。桜も見事でしたが、このけやきの森は、これからの季節、どんなにか美しい芽吹きを見せてくれることでしょう。風薫る5月も麗しい季節ですね。



で、翌12日、5時前に起きてまず学校に行き、荷物を取ってJRで名古屋まで。そしてセントレアから石家庄に着いたのが夕方6時ころでした。写真は、機内にあった宣伝パンフで、直訳すると「日本に行ったら、避けて通るのは難しい8つの素晴らしい商品」といった感じですが、ご紹介しましょう。

1.象印圧力電気釜  2.キャノンカメラ  3.ロボット掃除機  4.松下シェーバー  5.日立保湿美容器  6.24K黄金美容棒  7.松下ヘアドライヤー  8.東芝温水便座

ちょっと意外でしたが、シェーバーも含めると、半分の4点が美容関連です。隣に座った人に聞いてみると、彼女も黄金美容棒というのを買ったそうです。これ以外にも、化粧品やサプリやハミガキなど、つまりドラッグストアで売っているものが多いのです。日本に帰ると、ドラッグストアのどこもかしこもが TAX FREE の看板を掲げていますが、なるほどと納得しました。化粧品なんて、すぐに効果がわかるものでもないのに、やっぱり「日本製は安心だ」という、“神話”みたいなものですね。そういえば、アリババの雷さんでしたっけ、創始者が、「中国には日本の炊飯器は作れない」と自ら実験してからいったそうで、その発言が波紋を呼んでいるようです。

で、石家庄空港に着いて、予約を入れておいた漢庭酒店まで、重い荷物を抱えてたどり着いたのですが、「ウチは外国人は泊めない」というのです。あれこれいっても埒があかず、ネットで他をあたってみても全部ダメ。こういうのは、だいたい省単位、あるいは大都市の管轄行政からの指導があって、ダメなところは頑としてダメ、緩いところはずるずると緩いのです。河北省の省都である石家庄の幹部は、どうやら頭の古い人間たちのようですが、こんなことでは外国人観光客など来るはずもなく、観光産業など発展の余地はありません。もっとも、3つ星以上のホテルならほぼどこでも泊めてくれるのですが。

けっきょく、空港の近くに1軒見つかって、また空港まで戻りました。偶然、来た時と同じ運転手さんで、「どうしたの?それは難儀なことだね」と同情してくれました。バスを待っている間も、近くで屋台を開いていたおっさんが椅子を出してきてくれて、せめてこういった小さな心づかいがあっただけ救われました。

翌日、石家庄北駅から、銀川行の列車に乗って離石に戻ったわけですが、河北省というのは、何から何までほんと〜に“田舎”ですね。びっくりの連続です。とにかく朝起きて、空港からのリムジンで駅に向かおうと、行ってみると1時間に1本しかなく、しかも客待ちするので間に合わないからと、やむなくタクシー。しかもドライバーがいうには、リムジンは駅までは行かないので、また乗り換えなければならないのだそうです。そんな不便な話って考えられないです。私が使ったのは北駅で、もう一か所高速鉄道が通る駅があって、そちらはいくらか便利みたいですが、いくら何でも省都の駅でこれでは、省の偉いさんも恥ずかしくないのでしょうか?


これが「進站口」といって、入場口。ここからしか構内へは入れません。呂梁(離石)の駅だってもう少し立派な構えしてますよ。これって、遊園地の入り口よりボロくありません?
こうやってひとりひとり、チケットと身分証明書(マイナンバーカード)を提示して、器械にピッと通さなければなりません。その後に空港にあるのと同じ器械に、すべての荷物を通します。チケットを購入するには、必ず身分証明書が必要で、つまり、誰がいつどこからどこへ移動したか、すべて記録されるということです。日本もいずれこうなるのでしょうか?



こういう荷物担いだおっさんたちって、最近ほんとうに見なくなりました。出稼ぎ労働者もみなキャリーバッグだし、航空機を利用する人も決して少なくないのです。昔北京にいた頃には、時期になると西駅(ここから西方向つまり、内陸部に向かう列車が出る)までよく見に行ったものでした。私はなぜかこういった人たちにシンパシィを感じるのです。心の中で「がんばれっ!騙されるなよ!」とエールを送ったものでした。オリンピック前で、賃金の不払いなどザラだった時代です。

そして、離石でもう1泊して、昨日村に戻りましたが、私もお歳のせいで、最近はだんだん移動がしんどくなってきました。せめて大荷物がなければ、せめて誰かひとりでも一緒だったら、せめてエレベーターかエスカレーターが完備していたら、いやいや潤沢な予算さえあったら……などなどと思いは募りますが、「そんなら日本に帰ったら?」といわれてチョンなので、いいますまい。あ、いってしまいましたね。


ようやく部屋に落ち着いたところで、ガサゴソツ!と大きな音がしたので、何事だろうと外に出てみると、こんなかわいいヤモリのお出迎え。ありがとう。留守の間中、私の部屋をずっと守っていてくれたんだね。