工会賓館

ちょっとした用事があって久しぶりに臨県に行ってきました。何度も書いていますが、私が住む賀家湾は、臨県に属しますが、臨県最南部にあるため、隣の行政区の離石の方がずっと近く便利さも格段に違うので、臨県(行政所在地も臨県)に行くことはめったにありません。かつては古い町並みが軒を連ねる美しい街だったそうですが、日本軍に焼かれて以降、街並みが復興されることはありませんでした。20キロほど離石寄りの三交には日本軍の駐屯地があり、臨県より北部は八路軍の勢力範囲だったので、臨県界隈には激しい戦闘が繰り広げられた地域がいくつもあります。

3月2日が元宵節といって、正月最後の日で、この日の夜は街中にちょうちんの灯りがともされ、中央通りにはさまざまな趣向を凝らした大きな行灯が並んで、人々は最後の正月を楽しみます。ずいぶん前ですが、一度見に来たことがありました。今年も正月はもう終わったわけですが、街中はまだまだ正月気分が残っているようでした。




ここが中央広場ですが、離石よりも格段に“田舎っぽい”ことがおわかりかと思います。人口構成も圧倒的に老齢化が進んでいます。男たちがたむろっているのは、当然のことながら賭け〇〇というやつです。



食べ物屋の屋台があちこちひしめきあっています。衛生状況もさることながら、私がいつも不審に思うのは、あのソーセージや肉は、いったいどんなものを材料にしているのかしら、ということです。私はもともと肉を食べないので買うことはありませんが、若者や子どもたちはこういった串モノをいつもほおばって歩いていますが、大丈夫なんだろうか?大丈夫なはずないですよね。


以前はなかったDicosが開店していました。日本では見ないようですが、これもたしかアメリカ資本だと思うのですが。。。さっそく入ってコーヒーを飲んでみましたが、まあまあ合格です。ちなみに、コーヒーの味はずっと向上しましたね。どこも機械で淹れているので、その機械が新しいものに変わったということでしょう。数年前までは紅茶かコーヒーか判然としないものもあったのですが、中国におけるコーヒー文化は、確実に向上しています。しかし、これからコーヒーを飲む中国人が一般化して行ったら、世界のコーヒー豆市場はいったいどうなるのでしょうか?気になります。



ホテル代は離石よりも安めです。この写真のホテルで、朝食付きで2000円ほどですが、実はこの工会賓館にはいわく因縁があるのです。以前は取材もあったので、たびたび臨県に出かけ、そのたびに泊まっていたのですが、確か4年ほど前、朝起きてロビーに行くと警察が何人かいて、尋常ならぬ雰囲気でした。バタバタしていて最初は何が何だかわからなかったのですが、いろいろ聞いてみると、その日の明け方に、ホテルのマネージャーが金庫にあった現金などを全て持ち出して姿をくらましたらしいのです。そういえば、朝方私の部屋に誰か男が侵入してきて、ゴソゴソやっていたのですが、それは、給料が出ないとわかった従業員が、何かを漁っていたのだろうということでした。もちろん私もびっくりして、あっ!と声をあげたら出て行きましたが。あとから聞いたところによると、現金だけならそれほどのこともなかったでしょうが、それ以外に債権のようなものでしょうか、金目のものが大量に保管してあったそうです。それで、その後工会賓館は潰れてしまい、何年もの間、そのままの状態で放置されていました。

ところが今回前を通って見ると、開店していたのです。名前は工会酒店と変わっていましたが、もともと建物はそんなに古いものではなかったので、以前泊まっていた頃と何も変わっていませんでした。過年(大晦日)、つまり2週間ほど前に開店したばかりで、しかも正月など誰も泊まらないので、シーツもタオルもピカピカの新品で気持ちが良かったです。中国にしては部屋は狭いのですがきれいに掃除されていました。ただひとつ難点があって、暑すぎたのです。というのは、この集中暖房は地域ぐるみで行われているので、独自に調節することができないのです。春節が過ぎてから一気に寒さが緩んできましたが、この集中暖房を停めるタイミングというのは難しいのです。停めるためにもかなりの時間を要するようです。

赤い洗面台が素晴らしいですね。さすが中国。




日が暮れるとイルミネーションに点灯されます。写真では地味めですが、実際にはもっとずっと煌びやかです。中国人のイルミネーション好きは日本人以上で、賀家村ですら、秧歌があった広場から山の上にある廟まで、ずーっと長い灯りのラインが引かれ、それはまるでもう万里の長城のようでした。